1996 Fiscal Year Annual Research Report
読解過程における推論の働きに関する実証的研究とその応用
Project/Area Number |
06610477
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
天満 美智子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20055271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村杉 恵子 金城学院大学, 文学部, 助教授 (00239518)
田近 裕子 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (80188268)
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Keywords | 推論 / 読解 / 照応関係 / 因果関係 / コ-ザル・インファランス / コ-ザル・ネットワーク |
Research Abstract |
本年度は3年間の研究成果のまとめとして、以下の4点について主に研究を行った。1.読解における推論にはテキストの一貫性を理解し保持するために必ず行わなければならない推論(bridging inference)と、テキスト内容を豊かにするために行なわれる推論(elaborative inference)がある。前者はテキスト情報の提示と同時に生成されるが、後者に関しては読み手の自由な選択がある。前者では主に、照応関係(anaphor)や因果関係の原因を究明するものがあり、後者としては、ストーリー展開の予測、動詞に伴う使用道具(instrument)、描かれた場の状況(state)、動作(action)や物(noun category)の具体的内容、読み手自身の気持ち、書き手の意図などがある。2.因果関係の原因を推論する過程は、従来因果関係の連鎖(causal chain)で説明されることがしばしばであったが、階層を取り入れたネットワーク(causal network)による図式が必要である。特に、「おち」やユーモアがどのように理解されるかを示すためには複雑なネットワークの生成が費用であることが分かった。3.ストーリーの展開を予測する推論は、必ずしも全ての読み手によって常に生成されるわけではないようである。4.テキストの一貫性を保つための推論に関しては読み手の間であまり違いは出てこないが、内容を豊富にする推論において読みの個人差が生じるようである。すなわち優れた読み手と一般的な読み手との違いにかかわるのではないか。ただし、この点についてはまだ検証されていない。 以上の点を基にして、推論の生成における個人差は何に起因するのか考察を始めた。まず、記憶容量の個人差に何らかの関係があるのではないかなど、考えられる。
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