1994 Fiscal Year Annual Research Report
明治初期騒擾事件裁判における司法権をめぐる司法省と大蔵省の相剋に関する研究
Project/Area Number |
06620007
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie Chukyo University |
Principal Investigator |
上野 利三 松阪大学, 政治経済学部, 教授 (70151818)
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Keywords | 明治初期 / 騒擾事件 / 司法的処理 / 即決処分 / 司法省 / 大蔵省 / 司法権 / 廃藩置県 |
Research Abstract |
明治初期に各地で勃発した騒擾事件の処理過程で、主謀者の処刑が、主管の司法省ではなく、各県の監督官庁である大蔵省の出した即決処分指令で行われることが何件か続いた・明治六年の敦賀県騒擾の際はまさにその処理の仕方をめぐって司法省が大蔵省に激しく抗議し、両省間に司法権をめぐる権限紛争が発生した。本年度の成果の(一)は、この紛糾問題の発端から経過、収束に至る事実関係を、国立公文書館所蔵文書類、及び存地史料等にもとずいて究明した。また成果の(二)は廃藩置県という重要施策を強行する際、政府は地方管に死刑を含む即決処分権を一任したが、廃藩置県とは関係のない同時期の騒擾に対してもこの権限を地方管に全権委任した特殊な事例が四年十月の生野県(十一月に豊岡県となる)暴動事件である。この事件はまたその後の大蔵省独自の即決処分指令が出される過渡期に当たり、その事件裁判の全容を早く解明しておく必要をおぼえ、現地に数度足を運びその究明に取り組んだ。但し裁判史料は現在神戸地方検察庁に保管が確認されたが、閲覧許可後、閲覧の機会にあわないため、事件そのものの究明で一時筆をおいている。その他、史料蒐集は高地・長野・愛知(三河地方)等々精力的に行うことができた。
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Research Products
(2 results)