1994 Fiscal Year Annual Research Report
公船の裁判権免除の史的展開-国際法上の主権免除原則の発展におけるその意義
Project/Area Number |
06620021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉原 高嶺 京都大学, 法学部, 教授 (30004154)
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Keywords | 主権免除 / 国家免除 / 公船の免除 / 政府船舶の免除 / 絶対免除主義 / 制限免除主義 |
Research Abstract |
本年度は、研究課題に関するイギリス、アメリカの主要な裁判例を調査・分析した。公船の裁判権免除については、これら諸国の裁判例がその形成・発展に大きな地位を占めている。 調査・分析した判例は、イクスチェンジ号事件(1812年・米連邦最高裁)、パールマンベルジュ号事件(1880年・英控訴裁判所)、ポルト・アレクサンドル号事件(1919年・英控訴裁判所)、クリスティーナ号事件(1938年・英貴族院)、メキシコ対ホフマン事件(1945・米連邦最高裁)、フィリピン・アドミラル号事件(1975年・英枢密院司法委員会)等の各判決である。 これらの判例分析を通して、公船の絶対免除から制限免除への移行経過が明らかにされた。残る検討課題は、この判例の展開を欧米の国内立法と関連条約はどのように受け容れたかを分析し、主権免除全体の発展における公船の免除の位置づけと、その影響を分析することである。
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