1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06620022
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野村 美明 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (20144420)
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Keywords | 管轄権 / 域外適用 / 抵触法 / 国際法 / 経済 |
Research Abstract |
いまやほとんどの経済活動は国境を越えている。アメリカ合衆国は自国法を自国領域内に適用する「域外適用」を広く認めることによって、これを規制する傾向が強い。EU諸国においては、EUの枠内で共通の規制ルールを設けている分野と、構成国の国内法を域外的に適用して処理している分野がある。しかしながら、これを国際的なルールで規律しようとする試みは、競争法の国際的ハ-モナイゼーションが進まないことから明らかなように、いまだ発展途上にある。貿易管理法の分野でも、WTOで認められないような理由によって、自国の規制を及ぼす例も多い。 これに対して、国内における外国人の経済活動については、国内管轄事項として各国の規制にゆだねられてきた。しかし、2国間通商条約やWTO、OECDの諸ルールによって、国際的な自由化が進展している。OECDの他国間投資協定(MAI)の交渉も成果を上げている。このような動きは、日本の行政機関による経済活動一般に対する規制の緩和という動きにつながっている。この点に関しては、後掲の論文に成果を公表した。 以上から、つぎのことが明らかとなった。第一に、国家の管轄権の国際的衝突は、多くの分野で国際的なシステムを作ることによって調整されてきている。これに対して、第二に、貿易や投資のような国際的自由化を促進する分野と、競争法のように、自由競争を促進するための規制をすべき分野では、国際的な調整が困難である。
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Research Products
(1 results)