1995 Fiscal Year Annual Research Report
被相続人の意志を支援する相続法立法提案のための基礎的研究
Project/Area Number |
06620032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山田 誠一 神戸大学, 法学部, 教授 (60134433)
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Keywords | 相続法 / 立法 / 被相続人の意思 |
Research Abstract |
(1)日本法について(ア)相続させる旨の遺言は、当該遺産を当該相続人に単独で相続させる旨の遺産分割方法の指定であるとし、かつ、(イ)相続させる遺言により、原則として、被相続人の死亡によって、当該遺産は当該相続人に直ちに相続させるとした最判平成3年4月19日民集45巻4号477頁に示された判例の見解の内在的検討を行なった。その結果、(a)共同相続、特定遺贈とは別に、相続させる旨の遺言による単独相続という財産承継の法形式が承認されていること、(b)相続させる旨の遺言による単独相続という財産承継の法形式においては、共同相続とは異なり、遺産分割の遡及効に依存せず、被相続人から相続人への直接の財産移転が行われること、(c)右の財産転移には、いわゆる「物権的効果」が認められること、(d)単独相続という法形式を根拠として、その旨の登記が当該相続人による単独申請で行なわれることが明らかになった。 (2)フランス法について、上記の日本法における「相続させる旨の遺言」に関する法律関係は、フランス相続法における尊属分割(partage d'ascendent)に含まれる遺言分割(testament-partage)と共通する点があることから、フランス法における遺言分割に関する調査を行なった。その結果、(a)遺言分割を含む尊属分割において、分割にあずからなかった子は減殺請求をすることができ、(b)尊属分割は、相続人間の平等の原則を守らなければならず、(c)遺言分割は、遺言としての性格を有し、遺言の有効用件をみたなさなければならず、(d)遺言分割は、遺産分割の効果を有する(民法典1079条)ことが明らかになった。
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