1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06620036
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Research Institution | Kaogoshima University |
Principal Investigator |
佐野 裕志 鹿児島大学, 法学部, 助教授 (10145451)
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Keywords | 多数当事者紛争 / 多数当事者訴訟 / 環境権 / 入会 / 当事者適格 / 既判力拡張 / 任意的訴訟担当 / 手続保障 |
Research Abstract |
主観的に広がりのある多数人を含む紛争(多数当事者紛争)について、一対一の個別訴訟を念頭に置いた従来の民事訴訟が、どのような機能を果たし、あるいは果たすべきかを検討し、紛争の実体にあわせた訴訟理論を構築することを目標と、研究を進めてきた。 まず、第一に、訴訟参加の代表的なものであり、また実際の裁判例も多い、補助参加をめぐる判例を、ほぼ網羅的に取り上げ、そこにおける事件処理を検討しながら、実際の紛争で補助参加がどのような役割を果たしているか、また果たすべきなのかを検討した。ついで、実際の最高裁判所判決を取り上げ、実際の事件処理を検討しながら、そこでみられる従来からの判例・学説の処理の仕方を検討した。その過程で、法に規定された理念型としての訴訟理論を基準として事件処理をする場合には、紛争の実体とはかなり異なった形で処理され、理論的に一貫しても、事件処理としては大きな問題が残り、とりわけ紛争解決の中心的役割を担った当事者には、予想外の帰結となり、せっかく判決が出ても、有用な紛争解決基準とはなり得ないことが判明した。とりわけ、従来から二当事者対立構造の枠内で処理しようとする方向が、いまだ濃厚で、訴訟法が準備している多数当事者のついての規定すら、十分に生かし切れていないことも併せて明確となった。 以上の考察の上で、理念中心ではなく、紛争そのものに着目し、紛争関係者を念頭に置いて多数当事者制度を構築すべき必要性が明らかとなった。
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