1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06620038
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
名古 道功 金沢大学, 法学部, 教授 (80172568)
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Keywords | 休暇 / 労働時間 / ゆとり社会 / ボランティア / 自己実現 / リフレッシュ |
Research Abstract |
多様なタイプの休暇制度に関して、平成6年度は実態調査、同7年度は比較法研究を行ったが、本年度はこれらの調査研究を基盤にして、労働者個人の休か研及び社会的文化的生活の充実、さらに自己実現との視点に立って研究を進めてきた。 1 多様なタイプの休暇を導入目的によって分類すると、(1)年休の取得率の向上及び長期化をめざすもの(フレックス休暇等)、(2)年休の取得率の向上を側面から促進するもの(病気休暇等)、(3)節目毎に心身のリフレッシュを図るもの(リフレッシュ休暇)、(4)自己実現を促進するもの(ボランテイア休暇等)がある。 2 多様なタイプの休暇の法的性格は、年休同様に一方的な意思表示で成立するか、それとも会社の承認を要する請求権型かは一概に決めることはできないが、実態調査によると後者が多い。次に、権利性を有するには、就業規則や労働協約に規定されており、かつ制度内容及び付与基準が明確でなければならない。付与にあたって会社の裁量が大きい場合には権利性を有するとはいえない。さらに、休暇の取得と人事考課との関係については、労働力の評価に関わる限りマイナス評価することもやむを得ないが、その取得促進という観点からすると、望ましくない。他方、富士ゼロックスではボランティアなど社会的貢献をした場合、プラス評価しているが、わが国では、協調性、適応力、バイタリティーなどやや抽象的な項目を取り入れて人事考課している点からこれも許される。 3 今後、多様なタイプの休暇を普及・定着させていくには、次の点が課題となる。第一に、まず年休の取得率を向上させることである。第二に、休暇が会社中心ではなく、労働者を主体とした制度でなければならない。第三に、労働者を個人として尊重し、自己実現を促進する企業風士を構築することである。第四に、真の意味での「ゆとり社会」を実現することである。
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Research Products
(1 results)