1994 Fiscal Year Annual Research Report
政党間競争と国会運営の展開に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
06620046
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川人 貞史 東北大学, 法学部, 教授 (10133688)
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Keywords | 議会 / 衆議院 / 制度化 / 政党政治 / 代議士 / シニオリティ / 派閥 |
Research Abstract |
1.今年度の作業として,敗戦後の1945年第91回帝国議会における内閣法案,国会法案等の制定過程を会議録等を通じて分析を進め,次いで,1947年第1回国会から1954年第20回国会までの議院運営委員会議録を通じて,戦後国会の運営および国会法改正過程の分析を進めた。 2.衆議院および政党の役職データの作成作業として,総選挙直後の国会を数個選び、そこにおける委員会メンバー構成および委員長,議長の役職構成データを作成し,検討した. 3.自民党衆議院議員については,内閣閣僚選出,衆議院役職,党内役職についてのデータを収集し,コンピュータ・ファイルとして入力整理した。 4.上記データを活用して,自民党政権における内閣閣僚の選出に関する派閥均衡人事と年功序列人事の慣行の成立およびその理論的意味の考察を行う論文を執筆したが,まだ,発表先は未定である.自民党内における主流派と反主流派の対立は当初,役職人事に主流派優遇となって表れたが,1960年代半ばの佐藤首相の頃から,派閥勢力比と議員の当選回数にもとづく官僚ポストの配分が慣行として定着したとされている.しかし,なぜ,こうした慣行が成立したか明らかにされていない.私は,シニオリティ・ルールに関する合理的選択モデルおよび連合の理論を用い,さらに,自民党の議員構成の変化を考慮に入れた理論仮説を提示した.すなわち,シニオリティは派閥における序列として管理され,役職候補の推薦の基礎となる.自民党全体においてシニオリティ・ルールが成立するためには,自民党議員構成が安定し,派閥勢力比を大きく逸脱しない人事慣行が定着する必要がある.この時期は,これまでの通説の佐藤首相期よりも遅く,1970年代半ば以降である.
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