1995 Fiscal Year Annual Research Report
政党間競争と国会運営の展開に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
06620046
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川人 貞史 東北大学, 法学部, 教授 (10133688)
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Keywords | 議会 / 衆議院 / 制度化 / 政党政治 / 政治改革 / 戦略投票 / 国会運営 |
Research Abstract |
1.昨年度の自民党政権における内閣閣僚の派閥均衡人事と年功序列人事の慣行の成立に関する研究から継続して,自民党政権における役職人事全般の制度化に関する研究に取り組み,論文にまとめた. 2.今年度の新たな研究作業として,細川連立政権期における国会運営の変化および政治改革法案の立法過程の実証的研究に取り組んだ.まず,衆議院先例集の政権交代以降の記載の検討により国会運営ルールの変化を分析した.次に,第127〜8回国会の本会議会議録および委員会会議録,新聞各紙の報道記事等の資料整理および記者の方々への聞き取り調査を行い,与野党間の審議日程や法案の修正をめぐる駆け引きの模様を詳細に調べた.結論としては,ルール変化は政策対立を反映したものではなく,主として議会内役職の配分に関するものや従来の国会運営一般を改革するものであったこと,また、制度ルールの変更は基本的に小幅にとどまったこと,しかし,一つの重要な変化として,全会一致による国会運営に慣例が崩れ,それに代わって多数決による運営が新しい均衡制度として定着したことである. 3.連立政権によって,これまでにはなかった議会における多数派の形成と維持の問題が生じた.この多数決の不安定性は議題設定と戦略投票の可能性を生じさせた.94年1月の参院本会議における社会党造反議員の投票行動は,政府案に反対投票したために自分たちにとって最悪の最終妥協案が成立することに手を貸した形になった.本研究では,採決を不確実な議題設定下の不完備情報モデルとして捉え,彼らの行動を合理的行動として説明した.すなわち,彼らは,政府案が否決されたときには,土井議長提案(政治改革棚上げ)と最終妥協案のいずれかが生じる不確実な状況において,自分たちの投票によってもたらされる最終結果の期待効用を比較検討し,土井議長提案が成立する可能性に賭けて政府案に反対の戦略投票をした.
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Research Products
(2 results)