1995 Fiscal Year Annual Research Report
国際政治学理論における南北問題パラダイムの変遷と展望に関する基礎研究
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06620052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 幸男 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教授 (00162496)
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Keywords | 南北問題 / 開発援助 / 現実主義 / 新現実主義 / 構造主義 / グローバリズム / グローバライゼーション / 開発構成 |
Research Abstract |
本研究計画第2年度では、当初の研究課題をさらに深めることを主眼において研究を進めてきた。第1に、「南北問題」研究の国際政治学理論研究の検討、第2に、新たな国際政治理論として登場した「世界政治」研究に着手した。これらはいずれも文献調査による成果であるが、冷戦集結後の世界において貧富の格差が拡大しているという実現があるにもかかわらず、「南北問題」認識は後退を余儀なくされている。その理由を探ることが本研究の課題のひとつである。本年度では、国際政治学理論における「南北問題」認識は、冷戦と開発が密接な関係にあったことからうまれたものであり、いわゆる現実主義、新現実主義、さらには構造主義理論においても、それぞれ限界を有していたことが明らかになった。さらに、今後論議を精緻化するためには、とくに、アメリカを中心とした先進国が「南北問題」認識をどのように政策決定過程に反映させてきたのか、そこにおける途上国問題とはどのような把握のされかたをしていたかを検証したいと考えている。 なお、「南北問題」が戦後国際政治環境のなかで、いかに展開してきたかについては、かなりの文献資料の入手が必要であるために、次年度に実施することにし、課題として残った。いずれにせよ、上記2つの研究結果をもとに、その成果については、それぞれ公表ないし目下公表準備中である。そのひとつは、「第三世界と国際関係:世界政治への道標」として、原彬久編『国際関係論講義』有斐閣,1996年6月刊行予定所収論文がある。いまひとつは、「グローバル化のダイナミズムとアジア・太平洋秩序構想のゆくえ」(名古屋大学大学院国際開発研究科APEC研究センター・ディスカッション・ペ-パ-)として、1996年3月末に公表した。 これらはいずれも、本研究計画に基づく研究成果が反映されたものとなっている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 佐藤幸男: "グローバル化のダイナミズムとアジア・太平洋秩序構想のゆくえ" 名古屋大学APEC研究センター・ディスカションペ-パ-シリーズ. 1-31 (1996)
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[Publications] 佐藤幸男: "国際関係論講義" 有斐閣, 350 (1996)