1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06620053
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
大津留 智恵子 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (20194219)
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Keywords | アメリカ外交 / 民主主義 / 対外介入政策 / 議会(アメリカ議会) |
Research Abstract |
6年度の研究は次の4つの枠組みで行われ、各々に関して以下の途中経過が考えられる。 1.冷戦期の末期である1970年代から1980年代の米国の対外介入政策(主として軍事)の特徴を、アフリカおよびラテン・アメリカ地域に関するマイクロ資料を用いて分析した。共産・非共産の二分論が基調とはなっているものの、当事国の事情(政治形態、経済状態など)および米国の国益の定義に関する議論は、冷戦後の介入政策の布石をなしていることがわかる。 2.クリントン政権下でその継続の是非が議論される体外援助政策に関し、冷戦期においての政策決定要因について議会公聴会等の資料を用いて分析した。反ソ戦略的要素が重視された冷戦期の政策決定でも、対象国を主体とする政策妥当性を求める声が国内にあり、それに答えるために対外援助の原則論が議論されている。原則論の政治的重要性に変化はあるものの、今日の議論の参考となる。 3.冷戦後の一つの有力な形態として議論されている国連を中心とする多国籍主義を、米国の政策決定者がいかに理解しているかを、国連の平和維持活動に関する文献を中心に分析した。米国にとり国連とは経済的・政治的さらに軍事的経費の削減の手段として有用とみなされているが、自国の利害を第一に置く一加盟国としての立場と国連の精神の乖離についての理解は低い。米国的価値の普遍性論をめぐり、さらに分析が必要である。 4.在外研究を継続させて、秘密工作をめぐる資料検索をさらに行った。反共という正当性が消滅したことが、秘密工作を政策面から検討する機会を与えている反面、国内的には立法府と行政府との権限闘争と置き換えられる傾向があり、民主国家における秘密工作を正面から捕らえることが検討課題として残る。 7年度はこうした並行的分析を総括的にまとめ、対外介入政策の原則を問う作業を行う予定である。
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