1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06620053
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Research Institution | OSAKA KYOIKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大津留 智恵子 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (20194219)
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Keywords | アメリカ外交 / 民主主義 / 対外介入政策 / アメリカ議会 |
Research Abstract |
平成7年度の研究は、対外援助政策と冷戦後の軍事介入に関して、その原則をめぐる分析を行った。対外援助政策に関しては、行政府・議会のそれぞれが発行した人権問題をめぐる資料も入手でき、対外援助の議論で一つの基準となる相手国の民主化の問題を考察できた。また、軍事介入に関しては、英国国際戦略問題研究所年次大会に出席し、米国および国際機関の軍事介入の原則をめぐる議論に参加することができた。さらに、本研究のまとめにあたる米国の介入論理に関して、日本国際政治学会秋季大会で報告する機会も与えられた。入手資料および議論に基づいた分析結果の概要は以下の通りである。 1.対外援助政策は、それが本格化した第二次世界大戦後から常に冷戦の影響下にあり、経済的側面に軍事的側面が優先する傾向は免れない。しかし、その限界の中でも、60年代のように開発援助が自目的的に議論された例もあり、今日に通じる指針が見いだせる。 2.冷戦後の対外援助は、反共産主義という拘束がなく相手国の利害を考慮しやすくなったが、米国の国益が特定しにくく、国内的な支持基盤を失いつつある。しかし、国益を前面に押し出すならば、相手国への内政干渉という問題も生じ、ジレンマを抱えている。 3.内政干渉の問題は、軍事介入、特に人道目的の介入に関しても同様の課題を投げかけており、介入する側が、価値中立的な原則で介入を行うことの是非が問われている。介入の原則は、裏返せば撤退の原則でもあり、共産主義の浸透を防ぐことで成功とされた冷戦期の介入と、冷戦後の介入が根本的に異なる政治判断を要していることが明確になった。
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