1994 Fiscal Year Annual Research Report
中東欧における商業銀行の民営化問題に関する比較研究
Project/Area Number |
06630039
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
家本 博一 南山大学, 経済学部, 助教授 (20148290)
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Keywords | 中東欧 / 民営化 / 商業銀行 / 株式売却 / バウチャー方式 / 不良債権の償却 / 民営化省 / 証券市場 |
Research Abstract |
中東欧三国(ポーランド、ハンガリー、チェコ)での商業銀行の民営化に関わる法的・制度的措置、金融政策措置について関連資料を収集・整理した上で、その全体像を明らかにした。また、民営化過程にある商業銀行の中で代表的なもの(ハンガリーに関しては、政府の方針変更によって、民営化への移行措置が遅れたため、民営化前の商業銀行となった)を一行ずつ選び-ポーランドでは、ヴィエルコ・ポルスキ銀行、ハンガリーでは、ブダペスト信用銀行、プラハでは、ボヘミア貯蓄銀行-、1994年9月と12月の二回にわたり、民営化の目的、手順、方法に関する面談調査を実施し、各国の民営化過程を比較分析するための基本視座を確認した。更に、1995年度に実施予定の現地調査のための重点項目を定めるため、現地調査の過程で、調査対象となった三行において、民営化に際しての財務・人事面での改革案、投資信用供与計画案について聴聞した。これらの結果、中東欧三国に共通した点として、(1)商業銀行の民営化に際しては、証券市場がいかに隆盛を遂げるかが民営化を成功させる鍵であること、(2)民営化省による指導・監督が法律上不十分であるため、国営製造業企業の民営化と商業銀行のそれとが並行した形で進められるのではなく、前者に比べて、後者は、民営化の速度の点で相当程度遅れていること、といった二点が明らかとなり、相違点としては、(1)株式売却(公開)、旧社会主義時代以来の不良債権の償却、投資信用の審査などの点で、中東欧三国に相当程度の違いがあること、(2)銀行・金融制度の改革に関して、ポーランドとハンガリーでは、民営化された(される予定の)商業銀行の役割が重要視されているものの、チェコでは、ドイツ・オーストリア・イタリア・オランダなどの民間銀行の進出によって、商業銀行の位置づけがはっきりしていない、という二点が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 家本 博一: ""Financial and Fiscal Aspects of Systemic Transformation in Poland:Especially on Restructuring and Privatization"" 南山経済学会編『南山経済研究』. 第9巻第3号. 341-355 (1995)
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[Publications] 家本 博一: "「ポーランドの私有化政策-その現状と問題点」" 神戸大学経済経営学会編『国民経済雑誌』. 第170巻第4号. 63-82 (1994)