1995 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代以降の日本のアフリカ援助政策の特質について
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06630042
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 誠 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70205962)
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Keywords | アフリカ / アフリカ政策 / 開発協力 / 援助 / 構造調整 / アフリカ開発会議 |
Research Abstract |
1991年、海外経済協力基金は世界銀行の構造調整政策を実質的に批判する論文を明らかにし、日本が独自の開発援助構想を本格的に模索し始めた兆候として国際的にも反響を呼んだ。だが、現在では、日本政府の立場は当時に比べるとより世銀のオーソドックスな政策に近いものとなっている。市場万能論や性急な民営化に対する批判は、いぜんとして日本の援助担当者の間では強いが、アジアに比べてますます窮乏化するアフリカに対しては、今のところ日本としても有効なオルタナティブを提示しえないからである。一時期、特に93年に東京で開催したアフリカ開発会議では、独自のモデルとして東アジア・モデルの提示を試み、その後もアフリカの代表を招いてアジア各地でフォローアップ会議を開催するなどの努力を続けているものの、条件の違いが大きすぎて直ちにはモデルにならないという認識が一般化しつつある。 他方、アフリカ諸国における日本のドナーとしての地位は、ヨーロッパ諸国が後退しつつある中で相対的に上昇し、日本の経済力に対する期待はますます強くなっている。とりわけ、93年にはモゼンビ-クでの国連平和維持活動に自衛隊を派遣したことで、日本のアフリカにおける政治・外交的なコミットメントも深まった。だが、これも先進諸国を軸とする「国際」社会との協調を主たる動機として行なわれたがゆえに、日本独自のアフリカ政策に結びつくものではなかった。したがって、アフリカにおける相対的なプレゼンスは増大しているにもかかわらず、アフリカに対する独自の外交、援助政策を日本はいまだ構築しえているとは言いがたい。
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