1995 Fiscal Year Annual Research Report
日英合弁兵器鉄鋼会社の発展とイギリス資本-日本製鋼所の経営戦略とヴィッカーズ・アームストロング社-
Project/Area Number |
06630051
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
奈倉 文二 茨城大学, 人文学部, 教授 (10007825)
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Keywords | 日英合弁 / 兵器鉄鋼会社 / 経営戦略 / 日本製鋼所 / ヴィッカーズ社 / アームストロング社 / 英国側株主 / トップマネジメント |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦前における日英合弁兵器鉄鋼会社・日本製鋼所の発展過程を対象とし、とくに英国側株主(ヴィッカーズ社及びアームストロング社)との関係に考慮を払いながら、同社の複雑な経営戦略を解明することにある。 本年度は、昨年度に引続き日本製鋼所「創業期」(1907〜14年)について重点的に資料収集を行い、とくに工場操業開始以前の「創立期」(1907〜10年)のトップマネジメントについては、昨年度中間報告(1995年1月28日経営史学会関東部会報告、於早稲田大学)に止まっていた作業を完成させ、大学の紀要に発表した(「11.研究発表」欄記載)。 調査・分析の結果、創立期については、英国側出資者両社の日本製鋼所経営への関与は、予期以上に大きかったことが明きらかとなった。 すなわち、英国側取締役・監査役は、「創立契約書」に基づき日本在住の特定の代理人(Proxy)を指定して日本製鋼所重役会に常時出席させていただけでなく、代理人が各種委員会メンバーになったり、提案を行うなど重要な意思決定に参画していた。英国側重役代理人は電報・書状等で英本国と連絡を取り、英本国では英国側取締役会が随時開催されて英国側両社の意見交換・調整が行われるとともに、その結果が代理人に伝えられていた。 英国側株主は、日本側出資者の北炭(北海道炭礦汽船)専務・井上角五郎日本製鋼所会長の北炭同様の「専横振り」を批判するとともに、一時は"Managing Committee"(「常務委員」)制を導入して、英国側重役(代理人)が業務執行重役的な機能を担ったこともあった。また、北炭の経営危機に伴う井上会長辞任(1910年4月)の際には、英国側株主は「パ-マネント・マジョリティ」を要求したり、日本製鋼所の英貨社債発行計画に関連して日本製鋼所の財務監督を要求するなどの動きもあった。
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Research Products
(2 results)