1994 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間期から戦後にかけてのドイツ資本主義の構造変化と職員層の社会運動
Project/Area Number |
06630052
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
雨宮 昭彦 千葉大学, 法経学部, 助教授 (60202701)
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Keywords | ドイツ資本主義 / 構造変化 / 組織化 / 階層の構成変化 / 需要の構成変化 / 新産業または新興産業 / 新規設備投資 / デフレ政策 |
Research Abstract |
第一に、20年代のドイツ経済の展開の特徴を、一方では当時の景気分析に基づいて、他方ではこの時期の経済政策論争に即して明らかにし、それによって、ドイツ経済のデフレ的・マルサス主義的な基調を解明した。これによって当時の主流的な経済政策的認識の枠組みが明らかになった。かかる枠組みを前提にして、それに反する世界恐慌期の職員層の経済政策の特質を、ブリューニング内閣のデフレーション政策への職員諸団体の対応、景気浮揚を目的としたそれら諸団体の反循環的経済政策を中心に考察し、労・職間の政策の親近性と同盟の可能性を検出した。さらに、そうした職員や労働者の運動への諸政党の対応を分析し、ナチスがその社会的支持基盤を被雇用者諸階級の間に拡大しえた理由を考察している。 第二に、世界恐慌を契機に展開していく国家と経済・社会との新たな関係のありかた、特に国家による経済と社会の組織化の過程を分析し、諸利害の自己組織化を中心とした1920年代との相違を明らかにすると共に、他方ではそのような国家の新たな立場が、1920年代にはいかなる形で--独裁体制とは異なった民主的形態をも組めて--準備されつつあったかを分析している。以上の論点のうち、組織化に関わる研究視角、産業構造の変化、20年代の経済論争、30年代における職員層の経済政策に関する研究成果の一部を、雨宮昭彦「両大戦間期ドイツ資本主義の産業構造変化と社会階級--職員層Angestelltenschaftの事例に即して」(『土地制度史学』第143号、1994年)として発表した。また、1920年代の景気分析に基づいて当時のドイツ経済のデフレ的・マルサス的性格を解明する試みとして、雨宮昭彦「1920年代ドイルにおける経済構造の変化とその限界」(『千葉大学経済研究』第9巻、第2号、1994年)を公にした。
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Research Products
(2 results)