1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06630074
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 信仁 名古屋大学, 経済学部, 教授 (00022476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 晶夫 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (30242803)
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Keywords | 地方財政 / 地方自治 / 地方交付税 |
Research Abstract |
今日、地方自治体における一番の問題は、財源問題であろう。財政力が1を超える都道府県は47都道府県のうち数都道府県しかない。多くの県は0.6以下である。0.3以下の県もあり、こうした県は自主財源不足からその県独自の施策をすることは不可能であろう。中央から与えられた事業あるいは中央に許可を得られた事業しかできないであろう。こうした県はまず自主財源比率を拡大する必要がある。しかしながら自主財源を拡大することは可能であろうか。自主財源の中心は税収である。税収はその地域の経済力に依存している。したがって財政力をつけるには経済力をつけるのが肝要である。 次に税収確保のためにはまずやらなければならないことは、国と地方の税収配分を見直すことである。現在の税収配分は国に偏りすぎている。実質配分としては地方の方が大きくなっているが、国から再配分されるという形では、国の意向が強く働く恐れがあり、地方の自主性、創造性を損なう恐れがある。最初から地方の財源となることが地方自治のために意味のあることである。税源を地方に配分した場合、当然経済力のある自治体がより財政力を高め財政力格差が拡大する。この格差を縮小するために、負の交付税制度の導入が必要である。これまでの制度では財政力がプラスになれば交付税交付金がゼロになるだけである。財政力がプラスになる地方自治体は高い経済力を持っているからである。高い経済力は日本の環境を含めて資源をより多く消費することによりもたらされている。また都市化された地域に住む人々は、心身のリフレッシュのために都市には存在しない自然環境を必要とし、それは経済力が小さい地方に行くことにより満たされる。地方は自然環境を保存している。そのための費用は便益を受けている人々が負担しなければならない。このような点からも負の交付税制度は正当化される。
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