1994 Fiscal Year Annual Research Report
会計制度における貸借対照表計上能力のメカニズムと、その国際的調和化に関する研究
Project/Area Number |
06630109
|
Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
土方 久 西南学院大学, 商学部, 教授 (40069711)
|
Keywords | 貸借対照表能力 / 資金概念 / 負債概念 / 経済財 / 後給付 / 計上義務 / 計上禁止 / 計上選択権 |
Research Abstract |
何が貸借対照表に計上されうるか、誰の貸借対照表に計上されうるか、従って、どのように資産と負債を定義して認識するかの問題について、まずは、ドイツの会計制度に軌範を求めて、さらに、日本およびアメリカの会計制度も比較して、貸借対照表計上能力のメカニズムを分析すること(本年度)、同時に、会計制度の国際化に備えた調和比の方向を模索すること(次年度)を意図している。 本年度は、貸借対照表計上能力の史的変遷について、まずは、会計制度の基底にある静態論、動態論を解明することから出発した。動態論の構造から導出される貸借対照表計上能力として「後給付」と「前給付」の今日的な意義まで問いながら、研究業績は、論文「動態論と貸借対照表能力」(I)、(II)および(III)としてまとめ、『西南学院大学商学論集』に公表している。また、貸借対照表計上能力画定メカニズムについては、すでに、対象問題、帰属問題は解明しているので、選択権問題、すなわち、1985年のドイツ商法に「貸借対照表に計上しなればならない」と規定される計上義部、「計上してはならない」と規定される計上禁止に加えて、「計上することができる」と規定される計上選択権、従って、貸借対照表に計上するかどうかの自由裁量が付与される経緯、これにいかに歯止めを掛けるかの問題点を1870年/1884年のドイツ株式法、1897年のドイツ商法、1931年/1937年のドイツ株式法、1965年のドイツ株式法、1985年のドイツ商法まで跡付けながら、研究業績は、論文「貸借対照表能力と選択権」、「貸借対照表能力の実相」としてまとめを完了して、『會計』、『西南学院大学商学論集』に掲載する予定である。
|
-
[Publications] ひじ方 久: "動態論の貸借対照表能力(I)" 西南学院大学商学論集. 40-3. 1-15 (1994)
-
[Publications] ひじ方 久: "動態論の貸借対照表能力(II)" 西南学院大学商学論集. 40-4. 1-16 (1994)
-
[Publications] ひじ方 久: "動態論の貸借対照表能力(III)" 西南学院大学商学論集. 41-1. 6-25 (1994)
-
[Publications] ひじ方 久: "貸借対照表能力と静態論" 会計史学会年報(日本会計史学会). 12. 1-13 (1994)
-
[Publications] ひじ方 久: "Assets and Liabilities of Static Accounting" 会計史学会年報(日本会計史学会). 12. 81-83 (1994)
-
[Publications] ひじ方 久: "A Study on Definition and Recognition of Assets and Liabilities" Japanese Accounting Forum(JapanAccounting Association). 2. 25-30 (1994)