1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640077
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山口 勝 東海大学, 理学部, 教授 (10056252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉沢 正隆 東海大学, 理学部, 教授 (50108445)
渡辺 敬一 東海大学, 理学部, 教授 (10087083)
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Keywords | 弦の振動 / 1次元波動方程式 / 周期的に動く境界条件 / Diophantine近似 / Denjoy-Herman-Yoccoz理論 |
Research Abstract |
1つの端点が、x-軸上の正の部分を、他の端点がy-軸上を、共に時間について異なる周期で周期的に動く場合の弦の振動の様子は、数学モデルでは、x,y-軸上を周期的に動く境界条件をもつ線形斉次1次元波動方程式の初期値境界値問題として定式化される。この問題の解の定性的な挙動を研究し、以下の成果を得た。x-軸上の境界関数によって表される単純な関数(幾何学的には特性線の1-周期写像)のPoincareの意味の'回転指数'があるDiophantine近似不等式を満たし、更に、この回転指数と上記の2つの周期の間にあるDiophantine近似不等式が成立するならば、すべての解は準周期的である。このことから、ルベ-グ測度の意味で、'ほとんどすべての'x-軸上、y-軸上の境界関数に対して、解は準周期的となるということがわかる。更に、解は、(x,t)についてR^2平面全体に準周期的に拡張され、解の特異性は、特性線に沿って伝播するという結果が得られた。また、特にy-軸上の端点が原点で固定された場合は、回転指数が、単に無理数である(Diophantine条件は不要!)という仮定のもとで、すべての解が準周期的になるという結果が得られた。これらの結果により、この問題は、ほぼ解決をみたといえるが、回転指数が有理数の場合の研究が残されている。この場合については、J. Cooperの結果:回転指数が有理数で、特性線の1-周期写像が1個以上の有限個の周期点をもつ場合、解は時間の経過とともに漸次的に階段関数に収束する。また、筆者による回転指数が有理数で、特性線の1-周期写像の有限回の合成のliftが、整数切片の一次関数の場合、すべての解は、bi-harmonicであるという結果がある。本研究により、問題の解決には、数論のいくつか基本的性質が本質的に関係していることが分かった。この成果は、力学系論の優れた理論であるDenjoy-Herman-Yoccoz Theoryを効果的に用いることにより得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 山口 勝: "Existence of periodic solutions of second order nonlinear evolution equations and applications" Funkcialaj Ekvacioj (日本数学会関数方程式分科会誌). 38. 519-538 (1995)
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[Publications] 山口 勝: "Nonexistence of bounded solutions of one dimensional wave equations with quasiperiodic forcing terms" Journal of Differential Equations (Academic Press). 127 (発表予定). (1996)