Research Abstract |
本年度は、ランクが2の複素グラスマン多様体への調査写像の研究を行なった。 2次元トーラスT^2から対称空間への調和写像の例が,Burstall-Ferus-Pedit-Pinkallにより,可積分系の理論を応用することにより,構成されたが,このクラスを“有限型"の調和トーラスと呼んでいる。彼らは,rank1のコンパクト対称空間の調和トーラスをすべて有限型であることを示した。有限型であることを示す一つの十分条件として,φ:T^2→Nをr(≧2)-対称空間への“プリミティブ"調和写像,βをNのMaurer-Cartan形式とするとき,φ^*β(∂/∂_Z)がT^2の稠密集合上で半単純であるならば,φは有限型であることが知られている。我々は,Nが複素グラスマン多様体のとき,φの調査写像の列を考え,そのFirst return mapをA^φで表したとき,φ^*β(∂/∂_Z)が半単純という条件が,A^φが半単純かつ正則であるという条件に置き変えることができることを示した。この結果の応用として,G_2(C^4)の弱共形的,かつsuperminimalでない,調和トーラスは,有限型であるか,または,Cp^3の調和トーラスからextensionという方法で構成されることがわかった。さらに,G_2(C^<2n>)(n≧3)については,φのisotropy orderがn以上で,strong isotropy orderがn-1である調和トーラスについては,有限型であるか,または,Cp^<2n-1>の調和トーラスからextensionという方向で構成されることがわかった。これは,n=2の場合に,上記の結果に一致するので,自然な拡張といえる。最後に,Nが四元数射影空間の場合であるが,IHP^2とIHP^3の調和トーラスで,トーラスから得られることがわかった。この場合,Strong isotropy orderが奇数の場合には,問題はすでに解決している。
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