Research Abstract |
2次元トーラスから,コンパクト対称空間への調和写像の構成法については,2つの方法が知られており,1つは,ツィスター・ファイブレーションを用いる方法であり,正則写像から構成することができる.もう1つは,可積分系の理論を用いる方法で,2次元のフローから構成され,有限型の調和写像と呼ばれる.たとえば,階数が1のコンパクト対称空間への非共形的調和写像は,すべて有限型であることが,知られている.問題としては,階数が1のコンパクト対称空間への共形的調和写像は有限型か?,あるいは,階数が2以上のコンパクト対称空間への共形的調和写像はどうか?,という問題が考えられる.前者については,n次元球面,n次元複素射影空間,n次元四元数射影空間(n=2,3の場合)内の2次元トーラスは,共形的ならば,有限型または,よく知られた構成法(ツィスター・ファイブレーションを用いる方法)で得られることがわかっている.四元数射影空間についての結果が我々の結果である.また,後者の問題については,低い次元の複素グラスマン多様体G_<2,4>内の2次元共形的調和トーラスは,有限型または,ツィスター・ファイブレーションを用いる方法で得られることがわかった。さらに,一般の複素グラスマン多様体の1つG_<2,2n>内の2次元調和トーラスについては,“強イソトロピー・オーダー"が(n-1)で,かつ,“イソトロピー・オーダー"がn以上であれば,有限型または,ツィスター・ファイブレーションを用いる方法で得られることがわかった。
|