1994 Fiscal Year Annual Research Report
非線形拡散反応方程式系に現われる空間パターンの形成解の研究
Project/Area Number |
06640339
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川崎 廣吉 同志社大学, 同志社大学工学部, 教授 (10150799)
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Keywords | 反応拡散方程式 / 非線形方程式 / 空間パターン / Traveling wave / 走化性 |
Research Abstract |
バクテリアのコロニーや細胞性粘菌の集合体、昆虫の集合など多くの生物では化学物質の濃度勾配に感じて集まる走化性の現象がみられる.この性質によってこのような生物達は空間分布において多様な空間パターンを形成する.そこで,どのような仕組みによってこのような空間パターンが形成られるか明らかにするために,連続体近似の反応拡散方程式による数理モデル化によって研究が行われている.モデル化された方程式は,生物の個体数密度をu(x,t),化学物質の濃度をc(x,t),栄養分の濃度をR(x,t)として非線形の偏微分方程式となる.本研究においては,この方程式の解が空間パターンを形成しながら,その先端が空間的に広がっていくものについて,パターン解の存在条件や伝播速度のパラメータ依存性の具体的な関数関係を求め,その証明をすることを目的としており,本年度は主に計算機シミュレーションによる研究を行った. 計算機シミュレーションの結果をもとに,まず,空間パターンが現れているかどうかを判定する基準をつくった.それにより,スポット状の周期的な空間パターンが出現するパラメータの値の存在範囲がより精密に調べられた.また,これらのパラメータの値を変えることによって伝播の速度(空間パターンの拡大する速さ)がどのように変化するかの関数関係が数値的に一部明らかにされた. これらの数値計算の結果はその関係を証明するためにはまだまだ不十分であり,次年度も引き続き計算機シミュレーションを行うとともに,関数関係の証明を目指す.
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