1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640366
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高塚 龍之 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50043427)
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Keywords | 核子超流動 / 中性子星 / K中間子凝縮相 / π中間子凝縮相 / 多陽子混在相 / ギャップ方程式 |
Research Abstract |
中性子星コアの核子超流動問題が最近の観測との関連で注目されている。中性子星温度の観測は,いくつかの中性子星では,(1)通常の冷却機構(修正URCA過程による)よりもずっと速い冷却機構(π中間子凝縮相,K中間子凝縮相,多陽子凝縮相等における直接URCA過程が候補にあげられている),と同時に(2)速すぎる冷却を押さえるための核子超流体,の双方が必要との情報をもたらしつつある。本研究課題では「(1)(2)の両立問題の検討はいくつも提案されている速い冷却機構の候補を選別する道になる」との観点から,速い冷却をもたらしうる上記「新物質相」のもとでの核子超流動の可能性を検討してきた。今年度の主な成果は次のとおりである。 1.K中間子凝縮下の場合:K凝縮が起こっていると陽子混在度が20〜50%にもなり通常相と大きく異なる(通常相では数%)。このため中性子も陽子も共に^3P_2型の対相関をうけるという特徴をもつ(通常はnが^3P_2型,pは^1S_0型)。現実的核力を採用し,有効質量近似のもとで^3P_2型ギャップ方程式を解いた結果,K凝縮相では核子超流体は存在できず,K凝縮冷却は速い冷却機構から除外されるという結論を得た(既に論文として発表済)。 2.多陽子混在相の場合:相対論的効果により中性子星コアは多量(15〜30%)の陽子を含み得るという指摘がなされ「New Phase」として関心を呼んでいる。この場合の核子超流動問題を1と同様のアプローチにより検討したが,核子超流体の存在は望めない,つまり,多陽子混在相の存在とこの下での速い冷却機構を否定する結果が得られた(論文を作成中)。 3.速い冷却機構として最も可能性があると考えられるのはπ凝縮冷却の場合である。荷電中間子凝縮下の場合について,アイソバ-Δ(1232)の効果を含む準粒子対相関の理論的定式化を終え,目下,数値計算を始めている。H8年度には最終目標である中性・荷電共存凝縮相の場合について結論を得る計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Takatsuka: "Nucleon Superfluidity in Kaon-Condensed Nentron Stars" Progress of Theoretical Physics.94. 457-461 (1995)
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[Publications] T.Takatsuka: "Hot Neutron Stars at Birth : a Realistic Treatment" Elementary Process in Dense Plasmas (Addison Wesley). 17-24 (1995)
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[Publications] T.Takatsuka: "Hot versus Cold Neutron Stars" Nuclear Physics. A588. 365c-370c (1995)
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[Publications] T.Takatsuka: "Nucleon Superfluidity in Neutron Star Core with Kaon Condensate" Weak and Eletromagnetic Interactions in Nuclei (World Scientific). 625-628 (1995)