1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640367
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉村 太彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70108447)
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Keywords | ブラックホール / ホーキング輻射 / インフレーション / 再過熱問題 / ポロ-ニ問題 / パラメーター共鳴 / グラヴィティーノ / 粒子生成 |
Research Abstract |
この研究では2つの側面から量子的な反作用の問題を扱った. 第一はホーキング輻射によるブラックホールの蒸発とその残留物の研究である.ブラックホール時空に最も本質的だと思われる事象の地表面を重視して,二次的だと思われる曲率を無視する近似的な代用模型で反作用を含む時空構造の時間変化の解析を行った.この種の模型でホーキング輻射がとまり終状態に残留物が残されることを示した. 第二の研究テーマは初期宇宙によく現れるスカラー場の振動による粒子生成とその反作用としての振動の減衰と場の崩壊の現象である.場の振動が周期的なとき,これに結合する量子場の状態を厳密に取り扱う方法を見出して,この量子系が振動の数周期について時間平均すると,パラメーター共鳴の効果で粒子生成を引き起こすことを示した.パラメーター共鳴は生成粒子の運動量と振動の振幅をパラメーターとする平面で無限個の帯状領域で起る.そのために初期振幅の大きい場合の粒子生成は破局的に起り,これまでの単純な摂動論のボルン項に基づく場の崩壊理論は誤りであることが分った.この結果は,インフレーション直後の再加熱問題や超重力理論に現れるポロ-ニ場の崩壊に本質的な影響を与えることが判明した.特にインフレーション後の再加熱問題では早い時期に大量の粒子生成を伴って高温状態が実現することが容易になり,グラヴィティーノの過剰生成を押さえつつバリオン非対象の発生が起りえるこを示した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M. HOTTA, M. YOSHIMURA: "END POINT OF HAWKING EVAPORATION-CASE OF INTEGRABLE MODEL" MOD. PMYS. LETT. A. 9. 1617-1626 (1994)
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[Publications] M. HOTTA, M. SHINO, M. YOSHIMURA: "MOVING MIRROR MODEL OF HAWKING EVAPORATION" PROGR, THEOR, PHYS.91. 839-869 (1994)
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[Publications] M. YOSHIMURA: "CATASTROPHIC PARTICLE PRODUCTION UNDER PERIODIC PERTURBATION" PROGR, THEOR, PHYS.94. 873-898 (1995)
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[Publications] M. YOSHIMURA: "PARTICLE PRODUCTION AND INFLATON DECAY" PROCEEDINGS OF SYMP, ″THE COSMOLOGICAL CONSTANT AND THE EVOLUTION OF THE UNIVERSE″. (印刷中).