1994 Fiscal Year Annual Research Report
核スピン交差偏極による新しい核偏極生成法とその応用
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06640379
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 實 東京工業大学, 理学部, 助手 (80016112)
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Keywords | 核スピン偏極 / 光ポンピング / 核磁気モーメント / 核磁気共鳴 / 不安定核ビーム / 入射核破砕反応 |
Research Abstract |
近年、入射核破砕反応を用いた不安定核生成法により、新たな不安定核領域が実験研究の及ぶところとなった。本研究はこの領域の核磁気モーメント測定に道を拓くために、これに適用可能な核スピン偏極法として次の4段階からなる新しい方法の開発を目指している。すなわちi)光ポンピングによるRb原子の偏極、ii)Rb原子とのスピン交換衝突を通じたXe気体の核スピンの偏極、iii)偏極を保持したXe固体の生成、及びiv)この固体にインプラントした不安定核へのXe核からの偏極移行、である。これまでにi)及びii)に関する開発を行い以下の結果を得ている。 Xe気体とRbを封入するためのガラスセル、セル温度制御チェンバー、偏極度測定用高周波信号回路系の設計・製作、及び光ポンピングレーザー系の整備を行なった。これらを用いて、まず圧力610Torr Xe気体中のRbの光ポンピング実験を行なった。断熱通過法による^<129>Xe核磁気共鳴シグナルからレーザー出力1.05WにおいてXe核がP_<Xe>=3.5%に偏極していることがわかった。併せて緩和時間の温度依存性を調べ、偏極に対する時間発展方程式からこのときRbの偏極がP_<Rb>=37.8%であったことがわかった。また、セルのガラス素材はCorning 1720、同 1724、及びパイレックスのうちパイレックスが最も小さな壁緩和を与えることがわかった。 上で得られた偏極度の決定要因を解明してさらに大きな偏極を得るために、次にXe気体の圧力を60 Torr、10 Torrと変化させて同様の測定を行なった。その結果P_<Rb>、P_<Xe>はともに圧力の低下とともに増大し、10 TorrにおいてはXeの偏極は53.6%(このときRbの偏極は66.6%)に達した。このXe偏極度は不安定核偏極生成の目的には充分満足できる大きさである。 上記の圧力依存性から、Rbのスピン緩和過程はXe核への偏極移行によって支配されていることがわかった。入射核破砕反応によって生成した不安定核をインプラントして偏極させるにはXeの増大が必要で、レーザー光のセルへの入射効率の向上、セルの内壁のコーティングによるXeスピン壁緩和率の抑制の検討、および偏極を保持した固化過程の実現が次の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Sato et al.: "Polarized ^<129>Xe Stopper for the Measurement of Magnetic Moment of Unstable Nuclei" RIKEN Accerlerator Progress Report. 28(未定). (1995)
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[Publications] K.Asahi et al.: "Electromagnetic Moments of Unstable Nuclei Studied with Polarized Projectile Fragments" Nucl.Phys.A.(未定). (1995)