1995 Fiscal Year Annual Research Report
核スピン交差偏極による新しい核偏極生成法とその応用
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06640379
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 實 東京工業大学, 理学部, 助手 (80016112)
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Keywords | 核スピン偏極 / 光ポンピング / 核磁気モーメント / 核磁気共鳴 / 不安定核ビーム / 入射核破砕反応 |
Research Abstract |
本研究は、近年高エネルギー入射核破砕反応を用いて生成可能となった不安定領域の原子核に、核磁気モーメント測定によるミクロスコピックなメスを入れることを目指して、実験的方法の開発を行なうものである。すなわち、入射核破砕反応によって生成した短寿命不安定核に適用可能な新しい核スピン偏極法を開発し、β崩壊の非対称度を指標としたNMR法によって核磁気モーメントを測定する。この偏極法は次の4段階からなる手順によって不安定核のスピン偏極を達成する: i)光ポンピングによるRb原子の偏極、 ii)Rb原子とのスピン交換衝突を通じたXe気体の核スピンの偏極、 iii)偏極を保持したXe個体の生成、及び iv)この固体にインプラントした不安定核へのXe核からの偏極移行、である。 段階i)及びii)に関する開発はすでに平成6年度に進展しており、本年度(平成7年度)はそれに続く開発研究を行った。 1)まず気体Xeの到達偏極度P_<Xe>の封入圧力依存性を600torrまで拡大した圧力領域で研究し、その依存性が光ポンピングとRb-Xe、Xe-Xe衝突過程及び容器壁における緩和を考慮した時間発展方程式に基づく理論的予測とよく一致することがわかった。また、この解析によると容器壁におけるスピン緩和(壁緩和)がPP_<Xe>を決定する重要な要因であることが明らかにされた。 2)壁緩和を軽減するために、容器内壁のコーティングを種々の素材を用いて試行し、現在までに壁緩和時間11min.という著しい改善を得た。 3)上記で得られた偏極Xe気体から、不安定核をインプラントするためのストッパーとして固体固化過程におけるスピン偏極保持が可能なことが明らかになった。 以上により本方法の中心的部分の開発がほぼ達成された。これと並行して、 4)本方法を入射核破砕反応による生成核の偏極・核磁気モーメント測定に応用するため、当該反応生成核に適用するβ線検出系、磁気共鳴系を開発し、テスト実験を行った。 現在、これらの成果を応用して^<11>Beの磁気モーメントを測定するための準備を行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Asahi et al.: "Electromagnetic Moments of Unstable Nuclei Studied with Polarized Projectile Fragments" Nucl. Phys.A588. 135c-140c (1995)
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[Publications] 旭 耕一郎: "スピン偏曲した不安定核ビームとその応用" 日本物理学会誌. 50. 791-798 (1995)
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[Publications] H.Sato et al.: "Development of Polarized ^<129>Xe Sropper as a Polarizer for Unstable Nuclei" 「短寿命核ビームの科学'94」研究会報告集. 55-60 (1995)
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[Publications] H.Okuno et al.: "Measurement of the Magnetic Moments of ^<14>B and ^<15>B Using Fragment Spin Polarization" Phys. Lett. B. 354. 41-45 (1995)
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[Publications] H.Sato et al.: "Polarized Xe Solid as a Means to Produce Spin Polarization in Stopped Unstable Nuclei" Riken Accelerator Progress Report. 29. (1996)
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[Publications] H.Izumi et al.: "Electric Quadrupole Miments of Neutron-rich Nuclei ^<14>B and ^<15>B" Phys. lett. B. 366. 51-55 (1996)