1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640398
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 圭二 大阪大学, 理学部, 教授 (10011545)
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Keywords | Kaluza-Klein-理論 / Berry-位相機構 / ゲージ対称性の誘導 / コンパクト化 / ホロノミー場 |
Research Abstract |
本研究は、素粒子物理の基本法則を支配しているゲージ対称性の起源を問う目的で始められた。一般には、高エネルギー(Planckエネルギー)領域で極めて高い対称性が原理として要求され、それが低エネルギー領域では対称性の自発的破れの機構によって標準理論のような低い対称性に落ち着くとされている。しかし我々は逆に、高エネルギー領域で低い対称性をもつ理論も、時空のコンパクト化に伴って、4次元時空ではより高いゲージ対称性を生みだす機構が存在する事を指摘してきた。 平成6年度の成果は、6次元時空において重力とU(1)ゲージ場を持つ理論が、Kaluza-Klein-機構によって4次元時空と2次元のRiemann面(genusをgとする)にコンパクト化された場合、4次元空間にはKaluza-Klein-機構によるゲージ対称性のほかに、Berry-位相機構によってより高次の対称性を持つゲージ場とそれらの運動エネルギー項が誘導されることを示した事である。特に簡単な場合は、g個のU(1)の直積群に対応するゲージ場が現れることを、全ての過程をあらわに計算する事によって具体的な理論を構成した。これらの誘導されたゲージ場は2次元のRiemann面上に誘導されたホロノミー場として理解される。一般には、ホロノミー場は4次元時空のスカラー場として現れるが、これらがベクトル場として振る舞う事の証明も重要な論点である。 さらに現時点では、同じ時空模型から出発して、非アーベル群ゲージ場を誘導する機構の解明に取りかかっている。
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