1995 Fiscal Year Annual Research Report
Skyrme模型による核子の構造及び核子間相互作用と1/Nc展開
Project/Area Number |
06640405
|
Research Institution | Saga university |
Principal Investigator |
植原 正行 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30037171)
|
Keywords | Skyrme model / Low energy theorems / Electromagnetic polarizabilities / 1 / Nc expansion / Bound state approach |
Research Abstract |
今年度、私は、Skyrme-soliton模型による低エネルギー定理の証明としては十分分析されていなかった光子を含む反応に着目し、Physical Review D51に掲載 された論文で、光子-パイ中間子生成反応及びCompton散乱の低エネルギー定理を論じた。 ここでも、パイ中間子場は、古典的ソリトン場と量子的ゆらぎの場から構成される局所場として扱われる。このため、理論のゲージ不変性を明瞭に課することができる。ゲージ不変性の結果、(1)Compton散乱振幅はThomson極限を持つこと、(2)パイ中間子生成反応では、Kroll-Rudermann定理を含む低エネルギー定理が成立すること、(3)核子の電極偏極率は分散式を用いて、パイ中間子のone-loopの寄与を計算できること、(4)その際、Δ状態の寄与も明確に計算でき、結果は悪くないこと、等を示した。これらは、Skyrme-soliton模型の成果の中でも最良のものであると思う。 その後、SU(2)模型からフレーバの数が3以上の場合のSkyrme模型のうち、Callan-Klebanovの独創的なアイデアに基づくBound-state-approachによって、ハイペロンを含むバリオン-メソン系の研究に進んだ。これも、名古屋大学の斉藤栄さんのグループの協力を頂いている。ここでも、パイ中間子場は、ソリトン場とゆらぎの場からなる局所場として導入され、K-中間子場は、SU(2)ソリトンのまわりのゆらぎとして導入される。ハイペロン-核子-K-中間子の結合定数と形状因子、ハイペロン-パイ中間子結合、K-N、K-N散乱のS-wave scattering lengthsの計算が試みられ、近いうちに投稿する予定である。科学研究費は、名古屋グループとの討論にとって貴重なものであった。
|
-
[Publications] S.Saito: "Low-energy theorems for photo induced reactions in the skyrme-soliton model" Phys.Rev.D. 51. 6059-6074 (1995)
-
[Publications] S.Saito: "Low energy theorems in the chiral soliton model" Prog.Theor.Phys.Suppl.120. 297-304 (1995)