1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640427
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萱沼 洋輔 東北大学, 理学部, 助教授 (80124569)
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Keywords | 準位交差 / Landau-Zener遷移 / 量子摩擦 / 非断熱過程 / トンネル効果 / 相互作用モード |
Research Abstract |
本研究課題は、様々な側面を持つ大きな問題であるが、初年度においては、まず最も基本的な素過程に対象を絞り,基礎方程式の導出および数値計算による検討を行った。すなわち時間のあらわな関数としてエネルギー準位の交差する2準位系に媒質自由度としての多モードフォノンがカップルしたモデルを考える。ユニタリ交換により、フォノン系を相互作用モードと熱浴モードとに分解する。この際、電子系の緩和を正しく与えるように、相互作用モードを定義しなければならない。このユニタリ変換は、本研究において初めて定式化された。さらに、熱浴モードとの双一次結合による量子減衰を、相互作用モードと電子系の密度行列に対する減衰超演算子の方法で処理する手法を定式化した。得られた運動方程式を解く数値計算アルゴリズムを作り、いくつかの典型的なパラメタについて実際に計算を実行した。計算は大型計算機およびワークステーションによったが、その際、本科学研究費によって購入したパーソナルコンピュータが有効に利用された。 予備的な結果によれば、相互作用モードとの結合および熱浴モードによる相互作用モードの量子減衰は、量子遷移のダイナミックスに著しい影響を及ぼすことが判明した。熱浴モードとの結合が無い場合は、相互作用モードの量子状態間の多重準位交差の問題となり、コヒーレンスの効果が重要になる。この場合、準位交差を転送行列により記述する近似が有効であることが確かめられた。熱浴の効果は、これにエネルギーの緩和と位相の緩和をもたらし、とくに、交差領域をゆっくり通過する極限では、過渡的に熱平衡状態が実現する結果、交差以後の時間発展は上下どちらの準位から出発したかに関わらなくなる、という現象を見いだした。これらの結果の一部は論文発表済みである。また、一部は日本物理学会および光物性アジアシンポジウム等の国際会議において講演の予定である。
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[Publications] Y.Kayanura: "Role of Phase Cohoerence in the Transition Dynamics of a Periodi cally Driver Two-Level System" Phys.Rev.A. 50. 843-845 (1994)
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[Publications] N.Saito and Y.Kayanuma: "Resonaut tunne lling of a Composite Particle through a Single Potential Barrier" J.Phys.Condens.Matter. 6. 3759-3766 (1994)
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[Publications] N.Saito and Y.Kayanuma: "Resonaut Tunneling of a Wannier Exciton through a Songle Heterobarrier" Jpn.J.Appl.Phys.Suppl.34-1. 34. 77-79 (1994)
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[Publications] N.Saito and Y.Kayanuma: "Resonaut Tunneling of a Wannier Exciton through a Songle-Barrier Heterostructure" Phys.Rev.B. 51(発表予定). (1995)
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[Publications] H.Nakayama and Y.Kayanuma: "Hydrogenic Impurity State at an Interface" Solid State Commun.(発表予定).