1995 Fiscal Year Annual Research Report
中性子転換注入法でリンをドープしたポリシラン量子材料の半導体物性
Project/Area Number |
06640441
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松山 奉史 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (05527463)
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Keywords | 中性子転換注入法 / ポリシラン量子材料 / リンドープポリシラン / n型ポリシラン半導体 / 低次元半導体 |
Research Abstract |
本年度研究の対象とした試料はI[ポリ(メチルプロピルシラン)]、II[ポリ(メチルフェニルシラン)]、III(ポリ(ジ-n-ヘキシルシラン)]、IV[ポリ(フェニルシリン)]、V[ポリ(ジ-n-ブチルシラン)]、およびVI[ポリ(ヘキシルシリン)]である。これらポリマーのうちIV、VIは結合が2次元的でその他は1次元的である。原料モノマーはCl基を2個または3個含んでおり、ポリマーの全てはナトリウム縮合という方法で合成される。したがって、ポリマーには合成時に副産物として生成されるNaClが不純物として残っている可能性があり、本研究が目的とするリンの中性子転換注入を行なう際にはこのNaClの放射化が実験遂行の障害になるという問題がある。この不純物を低減化することを目指して行なった放射化分析の結果は次のようにまとめられる。 1.I〜VIに含まれるNaの濃度aとClの濃度bをモノマー1個あたりに換算して(a、b)で示すと、I(4・10^<-5>、6・10^<-5>)、II(8・10^<-5>、4・10^<-3>)、III(2・10^<-2>、2・10^<-2>)、IV(1・10^<-4>、2・10^<-2>)、V(1・10^<-1>、1・10^<-1>)、VI(6・10^<-5>、5・10^<-3>)であった。 2.II、IVのデータは、フェニル基をもつポリシランではモノマーにあったCl基が完全にはとれておらず、重合反応が不完全であることを示している。 3.III、Vのデータは、モノマーにある2個の側鎖基がバルキーであるため重合反応が完全には進行していないか、または、副次的に生成されたNaClが除去されていないためにNaClが大量に残っていることを示している。 4.IV、VIのデータは、2次元ポリシランでは重合反応が不完全にしか進行しておらず、したがって、欠陥の多いネットワークしか形成されていないことを示している。 5.本研究に使用し得る試料は、現在のところ、1次元ポリマーであるIのみである。
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