1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640442
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
延谷 宏治 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (70156222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 達郎 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (90029900)
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Keywords | 超イオン伝導機構 |
Research Abstract |
平成7年度では、先に解明したリブロン-フォノン結合系の軟化崩壊のアイデアを、さらに内部励起-緩和モード結合崩壊の仮説に発展させた。すなわち、多核イオン格子上のリブロンが格子内のイオン緩和モードと結合すると、前者の励起は崩壊して運動量とエネルギーは後者に移り、イオンは並進自由度の獲得とキャリアの生成即ち超イオン伝導状態に転移することを解明した。さらにこの仮説は通常のフォノン格子に対しても、内部励起-緩和モード結合による超イオン伝導の生成というアイデアに一般化できることを明らかにした。結合の手段として変調化学ポテンシャルを介した直接結合と間接結合が存在することも明らかにした。 さらに従来のサイトイオン緩和モードを空間の任意位置のキャリア密度緩和モードに拡張するとともに、従来の拡散方程式を結晶内のあらゆる位置で成立する微視的拡散方程式に発展させた。 実験では、M^+-SO_4^<2->系単結晶(M=Li,Na,K)の合成を行なうとともに、X線その場構造解析によって、常イオン伝導(低温相)の(Na,La)_2SO_4が、超イオン伝導状態(高温相)になるとSO_4方位が無秩序になりリブロンが崩壊することを明らかにした。 理論面では、内部励起と緩和モードの結合の手段を具体的に発見に発見(直接結合と間接結合)したことと、結晶内の任意位置で成立する微視的拡散方程式を発見した意義は大きい。実験においては、超イオン伝導状態(高温相)になると多核イオンの方位が無秩序になりリブロンが崩壊することを実験で明らかにした点が重要である。これらの成果は、「内部励起-緩和モード結合崩壊」による新しい超イオン伝導理論の完成と新しい超イオン伝導体の出現に役立つと思われる。
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