1995 Fiscal Year Annual Research Report
フラクタル性を持った強誘電分域構造の形成過程の光学観察
Project/Area Number |
06640447
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾崎 徹 広島大学, 理学部, 助手 (90177212)
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Keywords | 強誘電体 / 分域 / フラクタル / KDP / DKDP / RDP / CDP / TGS |
Research Abstract |
KH_2PO_4(KDP)結晶に形成される180°強誘電性分域構造は、分域壁に垂直な方向に周期性を持ち、自己相似性を示す。分域構造の半周期それぞれが5分割カントール集合の第n世代のプレフラクタルによって特徴付けられることから“5等分中抜き構造"と呼ばれており、これまでにn=0〜3と3′(n=3の亜流)の5世代が観察されている。 5等分中抜き構造の形成過程において、反電場E_dに由来する静電エネルギーと分域壁の表面エネルギー密度σに由来する分域壁エネルギーが共に重要な役割をしており、上記の5世代は5等分以外のどんな中抜き構造よりも熱力学的に安定であることが理論的に予言されている。本年度は、5等分中抜き構造に関して下記の研究実績(1)と(2)を上げた。 (1)KDP(相転移温度T_c=123K)と同型のRbH_2PO_4(RDP, T_c=148K)とKD_2PO_4(DKDP, T_c=220K)にも5等分中抜き構造が形成されることを明かにした。このことは、σがT_cの1/2乗に比例することから、5等分中抜き構造はE_dの下でσの大小に係わらず形成されることを示している。 (2)相転移に伴う対称性の変化がKDPとは全く異なるCsH_2PO_4(CDP, T_c=156K)と硫酸グリシン(TGS, T_c=322K)にも5等分中抜き構造が形成されることを明かにした。 このことは、分域が結晶学的に回転双晶(KDP)に分類されるか反転双晶(CDP,TGS)に分類されるかに係わらず、σにわずかな異方性があればE_dの下で5等分中抜き構造が形成されることを示している。
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[Publications] T. Ozaki: "Ferroelectric Domain Structure Charcterized by Prefractals of the Pentad Cantor Sets in KH_2PO_4" Ferroelectrics. 172. 65-77 (1995)
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[Publications] T. Ozaki, K. Fujii J. Ohgami: "Fractal Aspects of Lamellar Ferroelectric Domain Structures Formed under the Influence of Depolarization Fields in CsH_2PO_4 and (NH_2CH_2COOH)_3・H_2SO_4" J. Phys. Soc. Jpn.64. 2282-2285 (1995)
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[Publications] T. Ozaki, N. Yamada: "Pre-faactal Domain Patterns Optically Observed in KDP-type Ferroelectrics KD_2PO_4 and RbH_2PO_4" Physica B(Proc. phonons 95, Sapporo, 1995). (印刷中). (1996)