1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640448
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
萩原 千聡 山口大学, 工学部, 助教授 (90233444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 雄三 山口大学, 工学部, 教授 (30144918)
末岡 修 山口大学, 工学部, 教授 (00012378)
森垣 和夫 広島工業大学, 工学部, 教授 (60013471)
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Keywords | アモルファス半導体 / ルミネッセンス / 超格子 / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究では,人工的なナノ構造をもつ非晶質シリコン系膜であるa-Si_<1-x>N_x:Hバンド端変調構造膜ならびにa-Si:H/a-Si_<1-x>N_x:H超格子膜について,フォトルミネッセンスの寿命分布の測定を行い,電子状態や再結合過程に対する量子効果や閉じ込め効果について調べた. 低温(11K)での励起光強度依存性の測定結果は, 1.励起光強度の増加とともに短寿命側へのシフトが観測されるノンジェミネート再結合の特徴をもつもの 2.1ms付近にピークをもち励起光強度が増加しても寿命分布に変化がなく3重項励起子による発光と考えられるものに分けることができる. 1.の結果は,バルクのa-Si:H膜,井戸層幅の広いa-Si:H/a-Si_<1-x>N_x:H超格子膜に対して,2.の結果は,a-Si_<1-x>N_x:H膜,a-Si_<1-x>N_x:Hバンド端変調構造膜,井戸層幅の狭いa-Si:H/a-Si_<1-x>N_x:H超格子膜に対して観測された. 3重項励起子による発光が起こっているとみられる試料について寿命分布の温度依存性の測定を行った.窒素を多く含むバルクa-Si:H膜では誘電率が小さくなり,電子正孔間のクーロン力が強いために,温度100Kでも1msの寿命の成分が残っており,高い温度でも励起子が安定になることを示す結果が得られた.井戸層幅の狭いa-Si:H/a-Si_<1-x>N_x:H超格子膜や周期長の短いa-Si_<1-x>N_x:Hバンド端変調構造膜では電子正孔閉じ込め効果が期待されるが,このような試料でも100Kで1msの寿命の成分が残っており,このことは励起子が2次元的になり,その基底状態が深くなって安定になることを示している. 以上のように,ナノ構造非晶質シリコン系半導体において,3重項励起子の発光が起こること,閉じ込め効果により3重項励起子が2次元になることが明らかにされた.
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[Publications] C.Ogihara,H.Ishimura,T.Kinoshita,K.Ikeda,K.Morigaki: "Distribution of Lifetime of Photoluminescence in Band-edge Modulated a-Si_<1-x>N_x : H Films" Jounal of Non-Crystalline Solids. (印刷中).