1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640477
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助手 (90260629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都 福仁 大阪大学, 理学部, 教授 (10000837)
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Keywords | 磁歪 / 熱膨張 / 強磁場 |
Research Abstract |
平成6年度はパルス磁場による磁歪測定の準備期間として、超伝導マグネットを利用した定常磁場8テスラまでの磁歪測定装置と温度変化(熱膨張)測定装置を作成し実験を行った。これによって原理的な技術は確立したと思われる。しかしながらパルス磁場下での測定では、誘導電流による発熱等のため、大部分を非金属化する必要があり、しかも測定空間は特殊なデュワ-中で非常に狭く、まだ工夫を要する。7年度には諸問題を解決し、測定まで行いたい。6年度得られた新たな成果としてRERu2Si2(RE=Ce,Tb,Dy,Ho)の磁歪、熱膨張測定の結果を述べる。 CeRu2Si2は典型的な近藤格子系として知られており、極低温まで磁気オーダーしない。にもかかわらず磁場中でメタ磁性的な磁化のとびを示す。この磁性について非常に興味が持たれている。CeRu2Si2のRuをRhで小量置換すると磁気オーダーが発生するが、Ce(Ru0.85Rh0.15)2Si2の熱膨張測定から、磁気オーダー転移温度直上まではCeRu2Si2と全く同じ温度変化を示すことが明らかになった。この結果はCeRu2Si2自体が磁気オーダーと近藤効果が競合した状態であり、磁気オーダー寸前の状態であるが、近藤効果がわずかに有力で、磁気オーダーが押さえられているうらずけとなる。磁歪測定では磁気オーダーが壊れ常磁性状態になった高磁場領域でCeRu2Si2に見られたものと同じメカニズムによると思われる異常が観測された。また(Tb,Dy,Ho)Ru2Si2の磁歪では磁化の自乗に定性的によく一致する磁歪変化が観測された。今後はこれらの物質におけるデータの集積とパルス磁場下の測定開発を行い、格子とスピンあるいは格子と電子系が強く結びついた系、特にUPt3のメタ磁性、CeAg、DyAg、DyCu2等の四重極相互作用の存在する系について磁気体積効果から、磁気相転移のメカニズムについて言及したい。
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