1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640509
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小田垣 孝 九州大学, 理学部, 教授 (90214147)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 淳 九州大学, 理学部, 助手 (10274424)
|
Keywords | 遅い緩和 / 速い過程 / 理想3モードモデル / トラッピング拡散模型 / ノンガウシアニティー / 二成分ソフトスフェア-系 / 分子動力学シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は、液体からアモルファス固体にいたる緩慢な転移における動的性質の変化を、まず二成分ソフトスフェア-系の分子動力学シミュレーションによって詳しく調べた。ついで過冷却状態でみられる遅い緩和、速い過程、ボソンピークを示す理想3モードモデルについて考察し、さらにトラッピング拡散模型におけるノンガウシアニティーの温度依存性を求めた。 1.遅い過程の分離 二成分ソフトスフェア-系の分子動力学シミュレーションを行い動的構造因子ならびに一般化された感受率を求め、動的性質が連続的に変化していくことを示した。いわゆるアルファーピークが微視的過程から分離して、低振動数側に移動し、一方微視的過程のピークの高さが低温側で温度に比例して減少することが示された。 2.理想3モードモデル 格子点\s\を中心にした調和振動子を考え、さらに平衡位置sが二種類のスキャスティックな運動を行うものとする:一つは格子点上のジャンプ運動、他は格子点の回りに置かれた点の間を行ったり来たりする運動である。これらの運動が過冷却状態で見られる動的性質の特徴を再現することを示した。 3.ノンガウシアニティー トラッピング拡散模型から予想される様々な時間ウインドウにおけるノンガウシアンパラメーター(NGP)のパラメーター依存性を求め、実験と定住的に一致する振舞が得られた。 4.トラッピング拡散モデルのパラメーターが、温度とエクセスエントロピーの積のガラス転移点における値からのずれであることが示された。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] T.Odagaki: "On the glass transition singularities and slow dynamics" Physica.A. 224. 74-83 (1996)
-
[Publications] T.Odagaki: "A unified theory for the glass transition singularities" 物性研究. 66・3. 516-519 (1996)
-
[Publications] 松井 淳: "液体-ガラス転移近傍にみられる遅いダイナミックスのコール・コール解析" 高分子論文集. 53・10. 678-684 (1996)
-
[Publications] 小田垣 孝: "ガラス転移点近傍の動的特異性" まてりあ. 35・11. 143-148 (1996)
-
[Publications] T.Odagaki: "Non-ergodicity and non-Gaussianity in vitrification process" Prog.Theor.Phys.Suppl.(印刷中). (1997)
-
[Publications] M.Higuchi: "Ideal three-mode model for the dynamics of supercooled liquid" Prog.Theor.Phys.Suppl.(印刷中). (1997)
-
[Publications] M.Fujisaki: "Molecular dynamics study of a supercooled binary soft-sphere system:Calculation of the generalized susceptibility in supercooled and glassy states" Prog.Theor.Phys.Suppl.(印刷中). (1997)
-
[Publications] 小田垣 孝: "非線形ファイバー光学(翻訳)" 吉岡書店(印刷中), (1997)