1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640514
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
占部 久子 東京家政学院大学, 家政学部, 助教授 (00193970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 洋子 北里大学, 理学部, 教授 (10167455)
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Keywords | 結晶水 / リゾチーム結晶 / DNAフィルム / 極低振動数ラマンスペクトル / 緩和時間の温度依存性 |
Research Abstract |
生体高分子の水和水の動的性質は,機能の発現と関連して重要な意味を持つ.本研究は,DNAフィルム,リゾチーム結晶を試料として,自由水に近い水和水の緩和時間の温度依存性を,極低振動数領域のラマン散乱により明かにすることを目的とする。 室温での周りの相対湿度を変えた測定から,DNAおよびリゾチーム結晶のラマンスペクトルの中心成分は,自由水に近い結晶水に由来することが明らかになった。見かけ上乾いて見える,A型DNAと水が半分以上抜けたリゾチーム結晶においても,自由水の数分の1程度の緩和時間を持つ水が存在する。また予備的な熱測定を行った結果,上記の乾いた試料の結晶水は,不凍水であることがわかった。不凍水の一部が自由水と同程度の緩和時間を持つということは,水和に関しての従来の定説とは異なっている。 -20℃〜100℃でラマン測定が可能なセルが完成し,温度変化の測定が可能になった。リゾチームにおいて,熱測定を併用しながら,結晶水が凍結するとき,および蛋白質が変性するときの,低振動数モードと結晶水の緩和モードの変化を追跡中である。一方,ヌクレオチドの1つであるNa_2CMPの大きい結晶をつくることが出来,偏光ラマンスペクトルを得た。室温においては,結晶水に由来する信号はないが,温度を上げると結晶水の緩和時間が短くなって,中心成分として観測できると予想される。周りの相対湿度の減少(または昇温)で結晶構造が変わるヌクレオチドが多い中(H.Urabe et al.,Phys.Rev.B1(1995)),CMPは比較的安定であり大きい結晶が出来ることから,偏光も含めた昇温実験を開始した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 菅原 洋子,占部 久子: "格子振動・分子内振動から見た結晶ダイナミックス" 日本結晶学会誌. 37(in press). (1995)
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[Publications] H.UraBE,Y.Sugawara,& T.Kasuya: "Humidity-dependent structural transition of guanosine and Na_2-ATP (disodium adenosine triphosphate)crystals studied by low・frequency Raman Spectro-scopy" Physical Revien B1. 51. 5666-5672 (1995)