1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640523
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鴇田 昌之 三重大学, 工学部, 助教授 (80163963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 啓一 三重大学, 工学部, 助手 (70252343)
駒井 喬 三重大学, 工学部, 教授 (90000851)
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Keywords | ゲル / 体積相転移 / 拡散定数 / タイム・ラグ法 |
Research Abstract |
1)ゲル中における物質の拡散定数決定の為の装置の作製 当該研究を遂行するに当たり,ゲル中での物質輸送を特徴づけるパラメーターの一つとして,ゲル中における物質の拡散定数を測定することとした.拡散定数の測定法には種々の方法が考えられるが,ここではその理論的背景が確立されているタイム・ラグ法を用いることとした.種々のプローブ分子を用いて測定ができるよう,検出器として分光光度計・イオンメーター・視差屈折計を用いた.また,これらの検出器の出力はマイクロコンピューターにより記録し解析するシステムを作り上げた.装置の試験を種々の条件下で行った結果,タイム・ラグ法の理論的予測に良く対応した測定結果が得られることが明かとなった(Jpn.J.Appl.Phys.,(1995)印刷中). 2)ポリアクリルアミドゲルでの測定結果 次に,体積相転移を示さないポリアクリルアミドゲルを試料として測定を行った.種々の大きさの異なるプローブ分子を用い,ゲルの濃度を変えてゲル中におけるプローブ分子の拡散定数を決定した.得られた結果をスケーリング理論に基づいて解析した.解析の結果,ポリアクリルアミドゲル中におけるプローブ分子の拡散定数は,主にプローブ分子のサイズとゲルの網目のサイズの比によってのみ決まることが明かとなった. 3)ポリN-イソプロピルアクリルアミドゲルでの測定結果 最後に,ポリN-イソプロピルアクリルアミドゲルを用いて測定を行った.このゲルは感熱性ゲルであり,温度の上昇に伴って体積相転移が生ずる.従って,この系では特に拡散定数の温度依存性を中心に調べた.測定結果から,プローブ分子の拡散定数はゲルの体積相転移点の近傍においてカスプ状の特異な挙動を示すことが明かとなった.このような挙動と体積相転移の理論との対応関係は現在考案中である.
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