1994 Fiscal Year Annual Research Report
高フィネス光共振器を用いた高振動励起分子の非線形レーザー分光
Project/Area Number |
06640532
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々田 博之 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (30146576)
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Keywords | 光共振器 / 非線形レーザー分光 / 高振動励起分子 |
Research Abstract |
波長790nm付近で10000程度のフィネスをもつ光共振器を使った研究を行う前に,1.66μm付近でフィネス100程度の光共振器を使う実験を先行させている。後者は、前者に比べ,小さな光パワー密度で飽和が起こり,光共振器の調整も容易で、経験の蓄積、問題点の洗いだしを行うのに適当と考えられる。現在までの所、以下の結果が得られている。 1.高フィネス光共振器による飽和スペクトルの観測を行うために、外部共振器型半導体レーザーを製作した。中心波長1.64μm、同調波長域0.07μm、出力15mW以上が得られ、線幅は光ビ-トの測定から1MHz以下と確認された。このレーザーを使って、メタン分子の2ν_3バンドの線形吸収の観測、シュタルク効果の観測に成功した。 2.インバーの棒で支持された長さ40cm、フィネス160の光共振器を製作した。従来のものと異なり、共振器と試料セルが一体ではなく、高反射率鏡と試料を封じる窓が別々になっている。このため、デリケ-トな高反射率鏡に直接試料気体が接触せず、腐食性気体や放電生成物を対象にできる。吸収試料セルを入れた後のフィネスの低下も小さく飽和に十分な光密度が光共振器内に実現されていることが確認された。予備実験ではアセチレン分子の1.5μm帯の吸収で飽和スペクトルを観測したが、1のレーザーを使ったメタン分子の実験には成功していない。更にS/N比良く飽和吸収を観測するためには、レーザー周波数と光共振器の共振周波数が常に一致するように制御を行うことが必要と考えられる。 3.790nm付近でフィネス10000程度の光共振器の製作を始めている。電歪素子を大気中で動作できる設計を採用した。
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