1994 Fiscal Year Annual Research Report
可搬型広帯域地震計アレイを用いた下部地殻S波速度異方性の研究
Project/Area Number |
06640541
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金嶋 聰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80202018)
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Keywords | 下部地殻 / S波速度異方性 / 広帯域地震計ネットワーク / 短周期表面波 / 位相速度の分散 / 変換波 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、下部地殻のS波速度特にその異方性の地震学的推定を通して、下部地殻における岩石の変形・流動様式及びテクトニクスを明らかにすることである。本年度は、4月下旬に九州北部熊本県において可搬型の広帯域地震観測点10点で構成される30km程度の小スパン広帯域地震計ネットワーク観測を開始し1995年2月現在も観測を継続中である。このアレイで数多くのやや近地の地震の表面波形を記録した。記録された地震の方位は270度近くに及ぶ。同時に、数多くの遠地地震の実体波を記録することが出来た。 これらのデータの内、比較的近い遠地震の短周期表面波(ラブ波及びレイリー波の基本モードと高次モード)の位相速度の分散をアレイ解析から推定し,アレイ直下の地殻の平均的1次元S波速度構造とその方位異方性を調べている。現在、波形データの整理と表面波アレイ解析手法の整備に着手している。また、遠地地震のP波後続波とS波先駆波の解析を通して地殻での変換波を抽出しすることによるアレイ直下のP波及びS波速度の短波長の深さ変化の推定に着手しつつある。 これらの地震学的研究と並行して、下部地殻を構成する岩石の組成や強度にあるいは電気伝導度に関する実験データあるいは観測データを整理・検討中である。ネットワーク観測は今のところ概ね順調に進んでいると言えるが、本観測遂行において収録器やその周辺で大小さまざまなトラブルが発生し、それらの解決の過程で収録システム全体の問題点が明らかになった。今後このような可搬式広帯域ネットワーク地震観測が地震学において大きな役割を果たすことを考えると、これは極めて重要な成果である。一方、表面波の解析という観点からすると、ネットワークの観測点配置にはまだ改善の余地が多く、今後多少の配置変更をする予定である。
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Research Products
(1 results)