1994 Fiscal Year Annual Research Report
3次元マントル対流の数値モデル-粘性率の強い温度依存性の効果-
Project/Area Number |
06640548
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小河 正基 東京大学, 教養学部, 助教授 (30194450)
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Keywords | マントル対流 / 3次元 / 数値シミュレーション / 粘性率の温度依存性 / 非定常 |
Research Abstract |
粘性率が温度に強く依存する流体の3次元熱対流の数値シミュレーション用のプログラムを開発しプログラムの暫定的なベンチマークテストを行なった。このベンチマークテストは、ある特定の条件下で矩形の箱の中の熱対流を計算するというものであり、すでに世界的のマントル対流の数値シミュレーションの研究者が強力してベンチマーク・スタンダードを確立している。このテストの結果、今回開発したプログラムにより温度依存性の結果箱の中の粘性率に10倍のコントラストがある場合の定状対流および粘性率一定の流体の時間依存性のある対流を精度よく計算できるという見通しを得た。さらに、粘性率のコントラストが10000倍ある場合の時間依存性のある対流の数値シミュレーションも、計算不安定を起こすことなく行えることを確認した。(従来は、粘性率のコントラストが1000倍を越えると、計算不安定のため数値シミュレーションは不可能となっていた。)この時間依存性のある対流の計算に要したCPU時間は、比較的小さな箱の中の対流については1 GFLOPSの計算能力のあるスーパーコンピュータで1タイムステップあたり15秒以下であった。一般に、意味にある数値シミュレーションを行なうためには、約10000タイムステップの計算が必要となるので、本研究で開発されたプログラムを用いた場合、一つの計算につきおよそ40時間のCPUタイムが必要となる。これは十分現実的な計算時間といえる。さらに、この計算時間の約98%はベクトルと密行列の積という並列型計算機に適した計算で占められていることも確認された。このことは、今後期待される並列型計算機の著しい発展とともに今回開発したプログラムはさらに実用的なものとなることを示している。
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