1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640558
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
余田 成男 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30167027)
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Keywords | 天候レジーム / 温帯低気圧ライフサイクル / ダブルジェット / シングルジェット / 全球大気モデル / PV-θ法 |
Research Abstract |
南半球対流圏での帯状平均帯状流の季節内変動(ダブルジェット型とシングルジェット型の2つのレジーム間の不規則変動)とそれぞれのレジーム中での典型的な温帯低気圧ライフサイクルに着目して,平均帯状流を傾圧性擾乱との相互作用に関する数値実験を行なった. 使用した全球大気モデルは,水平スペクトルの切断波数T42,鉛直差分20層で,従来の長時間積分実験で採用されたモデルよりも高分解能であり,温帯低気圧の形態の変化を十分に捉えることができるものである.実験は現実大気を想定した「標準実験」と,標準実験よりも地表摩擦の緩和時間を1/2および2倍した「パラメータ実験」とからなる. 標準実験では,まず,従来の低分解能モデル実験と同様に,温帯低気圧と帯状流の相互夜用によって2つのレジームを有する内部変動が出現することを確認した.次に,これらのレジームが明確に長時間持続する状況下でPV-θ法による事例解析を行ない,数値実験として初めてHartmann(1995)が指摘したそれぞれのレジームに特有の温帯低気圧ライフサイクルを得た.すなわち,ダブルジェット型のときには,極域成層圏起源の高渦位をもつ気塊がジェット気流の低緯度側の高気圧シア-によって引き伸ばされて,いわゆるロスビー波の破波が起きる.一方,シングルジェットの場合には,高渦位大気と低緯度対流圏起源の低渦位大気が,ジェット気流の高緯度側で低気圧性シア-によって包み込まれる.また,温帯低気圧ライフサイクルを識別する指標を導入して,長時間積分で得られた流れ場の変動と温帯低気圧ライフサイクルとの関連を見い出した. 地表の摩擦を弱くしたパラメータ実験では,平均帯状流がダブルジェット型となり,逆に,摩擦を強くすると明確なシングルジェット型になることがわかった.これらの状況は,James and Gray(1986)が提唱した「順圧調整器」理論により力学的に解釈できるものである.
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