1994 Fiscal Year Annual Research Report
大気モデルの幾何学的構造と天候レジーム、ブロッキングの力学的根拠
Project/Area Number |
06640560
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
伊藤 久徳 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (80112100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 昌秀 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (30262166)
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Keywords | 天候レジーム / ブロッキング / 低周波変動 / カオス的遍歴 / 分岐 |
Research Abstract |
まず天候レジームとブロッキングをシミュレートできる傾圧準地衡風スペクトルモデルを作成した。海陸の差による熱的非対称性等はなくとも、現実的な地形を入れるだけで両方をシミュレートすることができた。 天候レジームの研究はおもにT15の解像度で行った。定常解や周期解、トーラスの分岐を丁寧に追っていくなかで、同じパラメータのもとでの複数アトラクターの存在を明らかにできた。複数アトラクターは多くのパラメータ領域で存在し、かなり普遍的である。これに攪乱を与えると、軌道はアトラクターに長く留まりながらも、アトラクター間を遷移するようになる。またパラメータを少し不安定側にずらしても同様の現象が生じる。これは他の力学系で知られているカオス的遍歴という現象である。以上に見られたアトラクター間の強制的、または自励的遷移は、長く同じパターンが持続し、かつ繰り返し起こるので、天候レジームの特徴をよく表現している。我々はこれが天候レジームの力学的根拠であると考えている。 ブロッキングの研究に関してはT21の解像度で行った。この解像度で時間積分を行い、太平洋や大西洋上のブロッキングをうまくシミュレートすることができた。次にそのブロッキング・パターンを初期推定値にして、準定常解を求めた。するともとと類似のブロッキング・パターンが準定常解として求められた。また山岳等を取り払っても類似のパターンをやはり準定常解としてえることができた。ここからブロッキングは準定常的な力学バランスを持っていることが分かった。
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