1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640586
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂井 卓 九州大学, 理学部, 助手 (70128023)
|
Keywords | 東シナ東縁部 / 古第三紀堆積盆 / 前弧-海溝系 / オ-ラコジン / 束槽境界 / 海水準変動 / 堆積区 |
Research Abstract |
八重山群島石垣島の宮良層群について以下の事実が明らかになった.下位の宮良川層の砕屑岩相は基盤の古期変成岩に由来する砕屑物からなる水中扇状地の堆積物に比較できる.斜層理から求められた古流向は北向きである.野底層は安山岩質溶岩と火山砕屑岩層から構成される.安山岩質溶岩は上下に枕状構造をもつ水中溶岩で,土石流の産状を示す水中火砕岩と火山砕屑性の土石流ータービダイトを頻繁に伴う.生痕化石や堆積相の特徴からは,かなり浅所での火山活動が想定できる.これは東シナ海海底下から報告されている始新世火山岩の一部に当たる.屋久島一湊累層の構造・堆積相解析の結果,一奏礫岩層は付加帯を覆って発達した前弧海盆中の深海渓谷に比較できた.深海渓谷は,深さが250m以上,幅1km以上の規模が見積もられ,四万十帯では最大の規模の深海渓谷であることが分かった.これには,河道充填,自然堤防,溢れだしの堆積物が識別できた.西彼杵地域の研究ではシークェンス層序境界の解析を行い,後期漸新世から後期始新世までに3つのラヴィンメント面とタイプ1,タイプ2の層序境界を識別した.このうち,始新世と漸新世の境界のラヴィンメント面と,漸新世中頃(約30Ma)のタイプ1境界は広域的に顕著な相対的海水準変動を示し、Haq et al.(1988)のユ-スタティック・カーブと調和することが明らかになった.研究の過程で,西九州と北九州-山口西部の古第三系との間に重要な堆積層序の違いが気づかれたため、芦屋層群の調査を福岡県津屋崎町と山口県下関市周辺で行い,下関市彦島周辺において堆積相と古流系の記載を行い,砂岩に卓越する浅海相の形成機構を考察した.昨年度を含めた研究を統括し,東シナ縁辺の古第三紀堆積盆を、積堆・造構作用の相違から,3つの主要な堆積区,日本海西部堆積区,陸棚堆積区,前弧-海溝堆積区に区分した.半地溝構造で特徴づけられる日本海西部堆積区は日本海形成に先行するオ-ラコジンに比較できる.また,前弧-海溝堆積区のサブダクション・コンプレックスの成長は,背後の陸棚堆積区での大陸からの大河川-デルタ有するdelta-fed fan systemの発達と密接な関連性が指摘できる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 岡本和夫: "下関市彦島・西山町地域の漸新世芦屋層群の堆積相と貝類化石" 瑞浪市化石博物館研報. 22. 19-50 (1996)
-
[Publications] 坂井卓: "渡半島の堆積岩類.津屋崎町史(自然科学)" 津屋崎町(印刷中),