1995 Fiscal Year Annual Research Report
第四紀におけるテクトノユ-スタティズムに関する研究
Project/Area Number |
06640588
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Research Institution | Faculty of Science, Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 隆男 東京都立大学, 理学部, 助教授 (10087140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 毅彦 東京都立大学, 理学部, 助手 (60240941)
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Keywords | テクトノユ-スタシ- / 房総半島 / ワンガヌイ盆地 / 累積構造 / 海成段丘 / 堆積物荷重 / アイソトープステージ3 / 更新世 |
Research Abstract |
本研究は第4・第5オーダーのユ-スタシ-によりもたらされる地層を対象とする堆積構造研究とは異なり,1Maの周期を持つ第3オーダーのユ-スタシ-を対象とし,そのような運動をもたらした構造運動の解明に新たな資料を得ようとするものである.本邦は第四紀の地殻変動が著しく,これが第四紀のテクトノユ-スタシ-研究にとっては妨げとなっていたようである.こうした現状に鑑み,本研究では第3オーダーのユ-スタシ-の可能性について従来の資料や既存論文の検討を行うと共に,主要な第四系の分布地について現地調査を行い,ユ-スタシ-に関する資料を得ようとした.この結果,構造運動解析に重要な新知見を含む以下のような結論を得た. 1.現地調査として,房総半島,宮崎平野,上北平野などの地域において段丘構成層とテフラ層序から海成段丘区分とその時代に関する資料を収集した.房総半島では後期更新世の地殻変動や海面高度を示唆するアイソストープステージ3の海成段丘を新たに発見,宮崎平野ではステージ5eあるいは5cの両説がある通山浜層は,確証は得られていないが5eの可能性があること,上北平野南部の海成段丘の区分と時代についても,新しい資料を得た. 2.関東平野西縁の上総層群は北方に向かって上位層が関東山地にアバットし、房総半島同様南側の隆起を示す.一方上総層群は累積性の堆積構造を示し,隆起しつつ沈水する現象つまりテクトノユ-スタシ-の可能性がある. 3.房総半島の第四系と,筆者がかつて調査したニュージーランド,ワンガヌイ盆地の第四系との比較を行ったところ,房総半島と同様間氷期海進堆積物の累積構造が確認され,汎世界的な第3オーダーのユ-スタシ-の存在を暗示した.しかし双方に存在する大不整合の時代は若干ずれ,この点でユ-スタシ-の同時性には問題を残した. 4.テクトノユ-スタシ-の存在に関係して,新たにローカルな堆積物荷重によるアイソスタティックな沈降という要素も無視できないことが明らかとなった.これは今後の課題として残された.
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[Publications] 菊地隆男・鈴木毅彦ほか: "房総半島,夷隅川下流の3万年前に形成された海成段丘の^<14>C年代とその意義" 名古屋大学加速器質量分析計業績報告書. 7号. (1996)
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[Publications] Takao Kikuchi: "A new interpretation of formative process of marine Pleistocene succession in the Kanto Tectonic Basin" Geographical Reports of Tokyo Metropolitan Univ.no.31. 65-81 (1996)
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[Publications] Takehiko Suzuki: "Chemical analysis of volcanic glass by energy dispersive X-ray spectrometry with JEOL JED-2001 and JSM-5200" Geographical Reports of Tokyo Metropolitan Univ.no.31. 27-36 (1996)
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[Publications] 鈴木毅彦: "いわゆる火山灰土(ローム)の成因に関する一考察-中部関東に分布する火山灰土の層厚分布" 火山. 40. 167-176 (1995)