1994 Fiscal Year Annual Research Report
秋田地域に分布する台島階,西黒沢階の微化石層序と古環境
Project/Area Number |
06640594
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 時幸 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (60241668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 俊昭 金沢大学, 教養部, 教授 (40004361)
大口 健志 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (40006664)
的場 保望 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (30006663)
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Keywords | 台島階 / 西黒沢階 / 秋田 / 微化石 / 古環境 |
Research Abstract |
平成6年度は初年度であり,基礎試料の収集に努めた.即ち,秋田県およびその周辺地域に分布する台島階,西黒沢階の微化石試料の収集を積極的に行なった.特に,青森県門ノ沢地域,秋田県大平山南縁鵜養地域,横手市東方山地,山形県東部山地,および新潟県五白川地域などで詳細なコラムを作成しながら試料の採取を行なった.この内,鵜養地域の調査では1/10のコラムを作成しながら生痕化石の調査も併せて行なった.現在,ラミナの有無や生痕の種類に基づき,堆積環境の観点から系統的な区分を試みている.これとは別に石油探鉱を目的に平野部で掘削された石油坑井の資・試料を関係石油会社から収集した.これに既存の在庫試料を加えることにより,微化石層序関係の試料はほぼ,当初の目的を達したと言える.しかし,西黒沢期の広域的な古環境変動を考察するには,秋田県北部から青森県南部の田ノ沢地域,および佐渡において試料の追加採取が必要と考えており,これらは平成7年度にサンプリングを予定している. 微化石調査は,今年度新しく購入した顕微鏡と写真撮影装置を用い,順次鑑定を行なっている.まだ途中経過ではあるが,前期中新世を示唆する石灰質ナンノ化石種Helicosphaera ampliapertaが当初の予想より広域から産出することが判明した.これは,西黒沢期の初期段階ですでに広い海域が存在していた可能性を示唆している.また,同種の形態に幾つかの変化が見受けられ,この点について,新規購入の顕微鏡と写真撮影装置で分類学的検討を続けている.一方,底生有孔虫から,西黒沢期後期およびそれ以降での古環境の変遷が明確になりつつある.すなわち,西黒沢期後期に始まる寒冷化が女川期との境界でより進行し,それによる海水準の低下,および溶存酸素量の変化が発生したことが明らかになってきている。この結果の一部については石油技術協会で講演したほか,それについて論文を投稿中である.
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