1995 Fiscal Year Annual Research Report
中性・酸性火山岩の希土類元素パターンの不規則変化の原因
Project/Area Number |
06640608
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤巻 宏和 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 司 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10272014)
長谷中 利昭 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50202429)
石川 賢一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20158744)
吉田 武義 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80004505)
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Keywords | 希土類元素 / 酸性岩 / セリウム異常 / 規画化パターン |
Research Abstract |
当該年度は、火山岩とそれに伴って出現する深成岩の希土類にも注目した。特に丹沢山地に出現する塩基性と酸性深成岩、及び北海道日高帯に分布する多様な火成岩についての分析から大きな新知見が得られた。丹沢の火山岩はやや塩基性の火成岩から、酸性の火成岩まで多様な岩石で構成されている。これらの岩石はすべて軽希土類元素にわずかに富んでいるパターンを持っているが、多様な岩石すべてが互いに平行である。しかし特に注目すべきことは、酸性の程度が甚だしくなるとCeだけが負の異常を示し始める。しかしこの異常はごく微妙であり、現在その存在が決定的に有意義であるかどうかは断言できない。一方北海道日高帯の火成岩は丹沢と非常に対照的である。日高帯では塩基性の火成岩は軽希土類元素に乏しいが、それに密接に伴って出現する中性岩・酸性岩は軽希土類元素に富んでいるパターンを持っている。それら中性岩・酸性岩は塩基性のマグマからは結晶文化作用ではつくり得ないことを示している。中性岩と酸性岩の間でも顕著な違いが認められる。中性岩の軽希土類元素はそれほど濃集しているわけではないが、塩基性の火成岩とは全く異なっている。一方、酸性岩は中性岩よりもはるかに軽希土類元素に富んでいるものの、重希土類元素は塩基性岩や中性岩とほぼ同じで変化がない。このような不規則な変化は、共通の出発物質から単純な過程では決してつくることはできない。丹沢の火成岩も日高帯の火成岩も、主要化学組成、鉱物化学組成から考えると、それぞれ共通の出発物質から形成されたとしても問題のないような岩体の組み合わせであり、今後大きな問題を提起することになる。
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