1994 Fiscal Year Annual Research Report
非-低変成別子型鉱床と海嶺硫化物鉱床の鉱物学的・地球化学的比較
Project/Area Number |
06640616
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加瀬 克雄 岡山大学, 理学部, 助教授 (30033195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅弘 岡山大学, 理学部, 教授 (60033130)
|
Keywords | 別子型鉱床 / 海嶺硫化物鉱床 / 閃亜鉛鉱 / 微量元素 |
Research Abstract |
平成6年度は別子型鉱床の鉱石の特徴を明らかにするために,様々な構造帯の鉱床から108の鉱石試料を選び,化学的に頑固な鉱物である閃亜鉛鉱の微量成分の分析を行った。特に,別子など四国中央部三波川帯の鉱床,阿武隅帯の日立,および日高帯の下川鉱床については多数の試料を調べた。得られた閃亜鉛鉱の微量元素含有量をモデル熱水溶液の分化(レイリー蒸留モデル)の過程で沈殿する閃亜鉛鉱の組成と比較した。分化モデルでは,閃亜鉛鉱中のCd/Znは最初に沈殿する閃亜鉛鉱で最も高く,その後連続的に減少する。Mn/Znは約60%の亜鉛が沈殿するまで殆ど変化せず,熱水の分化の末期に急激に増加する。以上の熱水の分化に伴う閃亜鉛鉱の組成変化の特徴はCd/Zn,Mn/Znのヒストグラム,Cd/Zn Mn/Zn変化図によって最も良く表現される。比較の結果は次のように要約される。 1)閃亜鉛鉱中のCd/Znは変成作用によって顕著に変化することはないので,熱水の性質を推定する良いパラメーターになり得る。 2)閃亜鉛鉱中のMn/Znは接触変成作用によって大幅に変化する。広域変成作用でも変化すると予想される。 3)閃亜鉛鉱中のCo/Znは共存する黄鉄鉱の分解によって一般に増加する。 4)CoはCdに次いで閃亜鉛鉱中に入りやすく,別子型鉱床の閃亜鉛鉱にはEPMAによってしばしば検出される。 5)三波川帯の鉱床,日立,および下川鉱床の閃亜鉛鉱のCd,Co含有量には有意の差があり,それらの形成場が異なる可能性がある。東太平洋海膨の熱水の組成から推定される閃亜鉛鉱のCd,Mn含有量は三波川帯の鉱床の含有量に近い。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Katsuo Kase: "Germanium-beaving colusite from the Yanahara mine,Japan,and its signiticavce to ore gevesis" Resource Geology. 44. 33-38 (1994)
-
[Publications] 加瀬克雄: "マリアナトラフ18°Nにおける硫化物-硫酸塩チムニ-の鉱物組成と鉱石組織" JAMSTEC 深海研究. 10号. 195-201 (1994)