1996 Fiscal Year Annual Research Report
別子型鉱床の生成場-その地球化学的キャラクタリゼーション
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06640617
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 洵 広島大学, 理学部, 助教授 (80033900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 康隆 広島大学, 理学部, 助手 (10198830)
北川 隆司 広島大学, 理学部, 助教授 (70112167)
星野 健一 広島大学, 理学部, 助手 (80190198)
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Keywords | 別子型鉱床 / 初生像 / 変成像 / 鉱床の地球化学的特徴 / 鉱床の生成場 / 三波川帯 / Rb-Sr, Sm-Nd, K-Ar,イオウ同位体 |
Research Abstract |
三波川帯の様々な程度に変成を受けた試料に加えて、他のテレーンのより低変成度もしくは未変成の試料中に共存する黄鉄鉱および黄鉄鋼間のイオウ同位体分別(α)を測定した。その結果、高変成度鉱床産試料は比較的均一なαを示すのに対して、低変成度鉱床産試料はそのバラツキが大きいことが判明した。前者は変成時にイオウ同位体組成の均一化の起こった結果であり、後者は四万十帯の試料を含めて、変成またはその後の二次的な影響を容易に受けた結果であると解釈される(Watanabe et al., in print)。それらの試料に未変成試料を加えてレーザー法により分析を行い、興味深い結果を得た。次に、三波川帯の中で低変成(P-A相)の枕状玄武岩溶岩についてRb-SrおよびSm-Nd同位体比測定を行った結果、Rb-Srアイソクロン年代は107±15Ma、初生値は0.70401±0.00006であり、Sm-Ndアイソクロン年代は得られなかった。この年代は玄武岩の受けた変成年代を示す。T=107MaでのεNd値(+7.8〜+4.3)及びεSr値(+2.2〜-7.0)は、それらの玄武岩溶岩の起源が海洋島の性格を帯びたdepleted oceanic mantleにあることを示している(Watanabe et al.,投稿中)。次に三波川帯の別子型鉱床産試料のK-Ar年代測定の結果は約60〜112Maを示し、80Ma頃の年代が最も多い。60Maの年代はP-A相の変成を受けた鉱床産の絹雲母の、112Maの方はE-A相の変成を受けた白髪山鉱床近傍の点紋角閃岩中の角閃石について得られたものである。80Maより若い年代は後退変成作用の時期またはその後の上昇期を、112Maは変成のピークの時期を示すものであろう。(Watanabe et al.,投稿中)
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Watanabe, M.: "Sulfur isotope fractination between coexisting pyrite and chalcopyrite from variously metamorphosed Besshi-type deposits, Japan" Neues Jb. Miner. Abh.(印刷中).
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[Publications] Hoshino, K.: "Exsolution mechanism of chalcopyrite from bornite solid solution" Neues Jb. Miner. Mh.(印刷中).
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[Publications] 渡辺洵: "オーストラリア,始生代の火山性塊状硫化物鉱床" 月刊地球. 号外16号. 107-113 (1996)
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[Publications] 渡辺洵: "西オーストラリア州における始生代の鉱化作用-金およびベース・メタル-" 資源地質. 46. 299-312 (1996)