1994 Fiscal Year Annual Research Report
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06640654
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野崎 浩一 大阪大学, 理学部, 助手 (20212128)
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Keywords | 光誘起電子移動 / 電荷分離反応 / 電荷再結合反応 / 距離依存性 / 溶媒依存性 / ルテニウム錯体 / ポルフィリン / 内部変換 |
Research Abstract |
◯0.05GPaから1GPaまでの範囲の圧力下でナノ秒時間分解スペクトルを測定できるシステムを製作した。また、平成7年度に製作を予定していた波長可変ピコ秒時間分解スペクトル測定システムを今年度製作した。 ◯分子内電子移動に及ぼす核運動の影響を検討するのに適した系を見いだすために、以下にあげるドナーとアクセプターを結合した化合物を合成し検討した。 ・M(II)-Rh(III)(M=Ru,Os)複核錯体における光誘起電子移動(ET)と逆電子移動(BET)の速度の距離依存性、溶媒依存性、温度依存性、エネルギーギャプ依存性などを検討した結果、Rh(II)錯体中での核の動きがBET速度を支配していることが明らかになった。 ・Ru(II)-Ru(II)複核錯体を高強度のレーザーで励起すると、両Ru励起状態間でTT消光が起こり、40%程度の収量でRu(III)-Ru(I)状態が生成することが分かった。この電子移動過程について距離依存性などを検討し光化学討論会に報告した。 ・Ru(II)-M(III)(M=Ru,Os)複核錯体のRu(II)の励起状態が分子内電子移動で消光することが分かり、ETとBETの速度の距離依存性、温度依存性を検討した。 非対称なRu(II)-Ru(III)混合原子価錯体の原子価間遷移バンドを近赤外レーザー光で励起すると、フランクコンドン状態からの速い(1ps以内)無輻射失活と溶媒分子の再配列が競争する結果、アセトニトリルなどの緩和の速い溶媒中では中間生成物である混合原子価異性体が生成しそこからのBETが見られたが、緩和の遅い溶媒中では、速やかに基底状態に戻ってしまうことが分かった。 Rh(III)錯体の励起状態には、^3ππ^*状態と^3dd状態がエネルギー的に近接しており、後者は1eV近い大きな再配列を伴う。Rh(bpy)_2(MPBIM)^<3+>で^3dd状態から^3ππ^*状態への内部変換が観測できることが分かり、その速度が錯体内部の核運動とカップルしていることを明らかにし、討論会に報告した。 ・クロリン-ポルフィリン2元系の電荷分離(CS)と電荷再結合(CR)速度について広範囲の溶媒効果を検討した結果、CR速度が非断熱の電子移動理論に従うことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akio Yoshimura et al.: "Dependence of Metal-to-Ligand CT Excitation Energy Transter on Donor-Acceptor Distamce and on Tempera ture(77-300K)" J.Phys.Chem.(印刷中). (1995)
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[Publications] Atsahiro Osuka et al.: "In tramolecular Charge Recombination in Carotexoid-Porphyrin-Pyromellitide Triads" Chem.Phys.Lett.(印刷中).