1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640662
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
生田 茂 東京都立大学, 教養部, 教授 (60112471)
|
Keywords | ab initio MO / 非経験的分子軌道法 / 水素結合 / プロトントンネリング / 励起状態 / プロトン移動 |
Research Abstract |
今年度は、本科研費でワークステーションを購入し、MOLCASやGAUSSIAN92プログラムを移植し、本研究課題が遂行できる環境を整えた。 バイハライド陰イオンである(ClHCl)について、各励起状態の電子状態や基底状態からの励起エネルギー、そして、陰イオンからの電子脱離エネルギーについて計算を行い、モデルの有効性と用いるプログラムの有用性を確かめた。十分に拡がったANO(Atomic Natural Orbital)基底関数を用いて、SDCI計算を行うことにより、(ClHCl)ラジカルの基底状態(^2Σ)、励起状態(^2II)のポテンシャル曲面を求めることができること。また、(ClHCl)イオンの電子脱離エネルギーは実験値(4.93eV)を極めてよく再現できることを確認した。また、多配置参照SDCI法やCASSCF法を用いて、(ClHCl)の種々の励起状態(^1Σ,^3Σ,^1II,^3II)への励起エネルギーを求めた。励起エネルギーの計算には基底関数の慎重な選択が不可欠であること、また、これらの励起状態のCI計算において複数根を求める際にroot flippingが起こる場合がある(^1II状態の計算など)ことが分かり、これらの克服が今後の重要な検討課題であることが明らかになった。 拡がったANO基底関数と十分な参照関数を用いたCASSCF計算やSDCI計算により、本研究課題を遂行できる見通しがつき、現在、(ClHCl)や(CIHF)のバイハライド陰イオンにおける種々の励起状態のポテンシャル局面の計算を行っている。
|